詩人:柚
風に誘われ舞う花の
中にいるのはただ一人
もう季節も変わるよと
言うほどに天高く舞う名も知らない花
ピンクというには優しくて
白とはいえない花びらが
蒼い空を彩りながら
輝いていた
もう緑も青々と
五月がやってくるよと
まるで最後を惜しむかのように
私に語りかけた
散りゆく名も知らない花の隣でほら
藤の花の紫がよく映える
さよならを言うには早すぎて
包まれた僕の姿だけが
とても異質なもののような気がして
朝の香りがいつも以上に
僕の中へと誘われてくる
足元で踊る花びらが
春のような気がして
歩みをためらわせる
またあえる日を信じて
別れを告げようか
また来年
僕は また出会う