詩人:黒夢
一生、望むものは手に入らない。
僕が望んだものは
違う世界にあることをようやく知った。
きっと手に入らないことを知っていて
それでも
諦めきれないまま、望み続けた。
ほんのわずかな希望にかけて
それのみに頼って、自分からは動かずに。
望むだけで手に入るほど、世界は簡単ではないことも
全部解っていたけれど
自分から絶望に近づいて行けるほど
僕は強くなかった。
傷つく事を恐れて、失う事を恐れて
前に進めないまま、時間が過ぎて。
もう手に入ることのない僕の望みは
きっと、他の誰かが手に入れている。
自業自得。
納得しないこの心を
その一言で片付けて。
僕の望み。
それは物ではなく、それ以上の価値があるもの。
否、値段などつけられるはずがなく。
ずっとそれだけがほしかった。
それだけあればいいと思った。
君の心が、僕の望みだった。
君の心が、何よりもほしかった。