詩人:千波 一也
とうの昔に
ほろびていたのかも知れない
ほろびという言葉は
※
まっすぐに立ち上がること
それを叶えた
わずかなものたちのいどころを
陸とよぶ
だから
陸にうまれたことが
なにかを約束するわけでは
けっしてない
※
ゆうやけがすきだ
しかも
ときどき
こわくなるから
日をおうごとに嘘つきになる
※
あらためて
帰りたいところを尋ねられると
こたえに困ってしまう
うっすらと
みずの匂いにとけこんで
※
このまますなおに
古びていけるものだろうか
きれいな傷ばかりに
こがれていても
※
明日あたり
そらが降りつもりそうだ
すべての呼吸の海となるため
いちまい
いちまい