詩人:黒夢
彼の手から彼女の手が離れた。満足な言葉も愛情も伝えそびれ言えなかったまま。もし伝えられたら。彼はそう思いずっと涙を流した。もう2人の時間に『もし』なんて都合のいい言葉が有る筈ないのに。伝えられなかった彼の想いの全てが未練となって後悔となってゆっくりと彼を蝕む。彼から手を離した彼女が後になってから彼より沢山泣いていた事をきっと彼は知らない。