詩人:千波 一也
この
ぬけがらの主は
きっと
りっぱな
成長をとげて
そっと
どこかで
息絶えただろう
どんな夕日を
浴びたのだろうか
どんな夜露に
濡れただろうか
どこで勇気を
覚えただろうか
どこで恐怖を
捨てたのだろうか
この
ぬけがらの主が
とうに
果てた後だとしても
残したものは
必ずある
はず
同盟めいた
思いを
胸に
草生う道で
会釈をひとつ
夕焼けのなか
とんぼが過ぎて
とおい真夏へ
向かってく
ぬけがらの上を
信じるものを
まっすぐ
束ねて
透明
に
2009/09/14 (Mon)