詩人:千波 一也
砂の城は
潮風にだけ開かれている
砂の城は
形あるものを招きはしない
そのことに
気づいたものたちは
ゆっくり砂へと戻りはじめる
そして
それらの隙間へ
およぶ視線たちも同様に
ゆっくり砂へと戻りはじめる
砂の城は
空洞だらけの構造だから
なにものも閉じ込めたりはしない
それなのに
出口を求めるものたちが
いつの間にか、ある
生まれつきの砂などない
たったひとつのその真実が
孤独の層を
悲哀の層を
築きあげてゆく
崩れることを繰り返しながら
築きあげてゆく
2014/03/22 (Sat)