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[5200] 『いさり火』

詩人:saixai


静かに波打つ海
浜辺では穏やかな波を見せる海も
沖ではどんな姿だろう?

空は一面曇り空
濃淡のある灰色と白色の世界に
思わず筆を取りたくなる…
この風景を描きたい…

しかし
取る筆もない
写し取る技術なんて備えてもいない

ならば
脳裏に・・心に焼き付けよう
何よりも鮮明に


空を映す海は暗い
それでも波打ち際では透き通った姿

辺りは次第に薄暗くなっていく
太陽は見えずとも日暮れ


ぽつ ぽつ と
水平線に明かりが浮かぶ

漁火だ

闇が深まると共に漁火が増えていく

あっという間に
水平線は光の粒子で埋め尽くされる


「あれは韓国の街が見えてるんだよ」
とか
「あれは日韓連絡橋で道路の明かりなんだよ」
なんて嘘も信じてしまいそうになるほど

美しさに息を呑む

そんな風に
ロマンチックに見える漁火も
遥か沖では
漁師の戦場を照らす命の光

2003/10/22 (Wed)
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