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[178471] 森の小さな詩

詩人:中村真生子


幼木は風が嫌いだった。

風は幼木を揺らし不安な気持ちにさせた。

雨と太陽は友達だった。

けれど雨が長居をすると疎ましく思い

時折、太陽のおせっかいに嫌気がさした。

幼木は少しずつ大きくなった。

春のある日、幼木は

葉を揺らす風にふと安らぎを覚えた。

長居をする雨ともおしゃべりを楽しみ

おせっかいな太陽をもやさしく迎え入れていた。

幼木はすっかり大きくなっていた。

そして友と

春にはいずる幸せを分かち

夏には長ずる楽しさを分かち

秋には実る喜びを分かち

冬には慎む尊さを分かちあった。

やがて幼木は老木となり

ある日、根元から折れてばったり倒れた。

雨は涙で清め

太陽は温もりで包み

風は弔いの歌を歌った。

友に見守られて老木は大地に還った。

生まれたばかりの幼木が

その根元で風に揺れていた。


2012/09/09 (Sun)
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