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[63800] 綿津見の眼

詩人:遥 カズナ



綿津見の紺碧に潤んだ眼

その深淵より聞こえる口惜しき魂達の慟哭
最も巨大な海獣達の木管楽器の遠い音色

深海より豊潤な息吹のように沸き立ち 閃くプランクトン

轟き打ちあぐる波しぶき
目に沁る潮の霧 迎え煌めく小さな虹

回遊魚の鱗のあまねく過ぎ去る大海原
それを掠め 翼を潮風に洗いしだく海鳥達

流氷と氷山の うごめきひしめくオーロラの彼方から
碧い月の砂浜に残る海亀が辿った家路まで

太陽と月の旅立つ扉

その安らかな寝床

私を誘う綿津見の紺碧に潤んだ眼






嗚呼…海よ







2007/12/13 (Thu)
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