綿津見の紺碧に潤んだ眼その深淵より聞こえる口惜しき魂達の慟哭最も巨大な海獣達の木管楽器の遠い音色深海より豊潤な息吹のように沸き立ち 閃くプランクトン轟き打ちあぐる波しぶき目に沁る潮の霧 迎え煌めく小さな虹回遊魚の鱗のあまねく過ぎ去る大海原それを掠め 翼を潮風に洗いしだく海鳥達流氷と氷山の うごめきひしめくオーロラの彼方から碧い月の砂浜に残る海亀が辿った家路まで太陽と月の旅立つ扉その安らかな寝床私を誘う綿津見の紺碧に潤んだ眼嗚呼…海よ
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