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[29719] It“

詩人:哀華

「オーブンで焼かれた
自尊心
引っ付かんで
連れて行かれたのは
ガレージの下

僕の名前はIt
人間にもなれない
“それ“以下の物だ」

そんな本を
貪り読んだ夜

私と似ている彼

誰にでも平等に
愛される資格がある
そんなのは
きっと嘘だ

殴られて
歯が欠けて
絞められて
吐きかけた

私もItだったから

あの頃
生きる事は
少し辛すぎて

愛されたくて
狂いそうだった

雨が痛くて
顔が歪んで
膝は泣いて
両手は死んだ

私はIt
“それ“以外の
何物でもない

2005/03/15 (Tue)
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