ホーム > 詩人の部屋 > 望月 ゆきの部屋 > 刹那い > 投票

望月 ゆきの部屋  〜 「刹那い」への投 票 〜

  • 望月 ゆきさんの「刹那い」に投票します。
  • 不正防止のため投票は「詩人の部屋」の登録者のみに制限させて頂いています。
  • ユーザーIDとパスワードを入力して「投票する」をクリックしてください。

[23171] 刹那い

詩人:望月 ゆき

かつて
わたくしは
花、だったのですよ
よろしければ
咲いてみせましょうか


言うと
水、のようなそのおかたは
しなしなとゆびを左右に
ゆらして
ていねいに
それをこばむ

   
  いいえ
  その必要はありません
  なぜなら
  そのことにつきまして
  じゅうぶんにぞんじております

  あなたが
  花、だったそのとき
  あなたはずっと
  わたしのなかにひたっておりました
  から
  ひたすら、
  に


それならばなぜ
あのとき
わたくしの花弁を
むげにしたのですか


問うと
水、のようなそのおかたは
ていねいに
かたむいては
こぼした


  わたしはそのとき
  じゅうぶんに
  あなたのなかにしみいっておりました
  ので
  あなたとともに
  ともに
  散りおちたのですよ


ならば 
どうしてずっといっしょには
いてくださらなかったの
です


  あなたのなかは 
  とてもここちよかったのです
  けれど
  どうしてもわたしは
  あなたの毛穴
  から  
  しゅうしゅう、と
  空にのぼらなければならなかった
  
  そうしてそれは
  すべて
  あなたを
  ふたたびうつくしく
  咲かせるため
  と
  したなら


水、のようなおかたは
舌の上で
ていねいに
そう語ると
すぐにまた
わたくしの
あしもとふかく
ふかく
へと
消えていかれた

2004/12/16 (Thu)
ユーザーID パスワード
一言コメント  


- 詩人の部屋 -