漂う夜の薫りを
手繰り寄せてみる

今夜は切なくて
どうしても
眠れそうにないから

見上げた星空

私を照らす月明かり


零れた涙は 指先を伝い

今日も行き場を失くして

貴方が隣に居なくても


私は普通に呼吸をして

何気ない事に笑って

美味しい物を食べて

幸せと感じて


哀しいとは思わない


けれど


貴方を失くした右手が今も

寂しいと泣いています

もう 私から伝えることも

貴方から伝えて貰うこともない

手を離すとはそういうこと

さよならを 形にするとは

そういうこと

誰かに愛されること

そして

誰かを愛することが
出来ること


それはとても素晴らしくて

とても尊いこと

会えなければ
こんなにもすれ違い


電話越しじゃ言いたいことの
半分も伝えられなくて


強がってばかりいるけれど
本当は心の中では
いつも泣いています


貴方の瞳に写る私が
笑顔なら安心で


電話越しに泣き笑い

貴方を困らせることが
何よりも恐くて仕方ないのです

ごめんねの切なさなら
私がもう十分知っている

さよならの痛みなら
私がもう十分知っている

だから

だから

貴方だけは どうしても

傷付けたくないのです

さよならがそこに横たわり

息を潜めて

私たちをじっと見つめてる

つないだ手を離すことは

こんなにも とても

とても容易くて


だけど


つなぎ続けていくことは

こんなにも どうして

どうして 難しくて

哀しくて 苦しいの

何を信じていいのか
わからなくなってしまった


その涙の意味は
その溜め息の訳は


もう どうでもいい


これが さよならということ