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番犬の部屋  〜 投稿順表示 〜


[101] 
詩人:番犬 [投票][編集]


水道管から食器へと落ちる水


窓からタイヤの回転音



アスファルトを刻んでいくのだろう



家賃を催促する家主の喚き




ブラウン管の軋み

どぶ川の深さで溺れた猫



ぼんやりと月を眺めてる野良犬の鳴き声



いろんな隙間から音が漏れて


それは本当にいろんな音で


洪水みたいに押し寄せてくるが


本質的には静寂以外は存在し得ない


意識の箱と言って過言ではない


この小さなアパートの一室


三日月の晩に膝をかかえ

ひび割れた鏡を見つめている

先月もそうだったし

来月もそうであろう



耳に痛覚


爪でかきむしる皮膚


落ち窪んだ眼球

瞳孔が灼けるほどの暗闇で

退廃を司る大脳へアクセス


救いの無い快楽の貪り



使い捨ての注射針がそこら中で


使い捨てた時間の数を誇っている


ああ神様
俺は悪い子ですか?

親に捨てられた
この俺が悪いのですか?

もう二度と望みません

だから今だけは見逃して下さい



淡々と一人会話を続ける


深さ無限の自己内省

自我崩壊を待っている



理性を脱ぎ去った俺に残る物は


多少の散文詩


化学物質


近代哲学


骨の仕組み



パイプに詰めた葉っぱだけが


僅かにほの暗く辺りを照らす



床から天井までの2メートル


紫色の煙だけが流動的なフラクタルを描いていた















沈む




沈む



無重力を感じる




沈む




沈む



死と再生




僅かな光を精製する


メスカリン



アルコールランプ



アルゴリズム



アナログレコードのアナグラム




俺の声


心臓音



呼吸器の破綻まで



紫色の煙を肺に充満させ続けよう






2007/04/24 (Tue)

[102] ジレンマ
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空腹を満たされた者は
空腹を求めるようになる



少なくとも俺はその手の物書き



質量保存の法則のように
相互干渉する二つの胃袋



一方が幸福で満たされた時
一方は空腹で満たされる




解決不可能なジレンマ




2007/04/24 (Tue)

[103] 無題
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強引なまでの腕力で引きずり上げるスタンダード
フルスペック大容量の脳細胞
自由自在な領域で逞しく呼吸器を活用
あー
世界がこんなに美しいとは思わなかったぜ
鳥の鳴き声で目を覚ませる事自体
なんでも聞く事ができるという証
夕焼けがビルを紅く焦がすのを見る事ができるという事自体
なんでも見る事ができるという証
いやいや
どれかが欠けても結局は俺は生きてる
経験を重ねる事も汗をかく事も何かしらの発見を感じる為の前座のようなものだ
なんてヤバ目な境地に降り立った事か
古代から連綿と立ち並ぶ神々よ
この新生児に祝福の接吻を与え賜え
遠くの空轟く雷鳴震える大気
耳をつんざく程の静寂で燃える炎は老いる事を知らないという
俺もそこで言葉を吐き続ける
俺はここで苦悩し続ける
またいつか会えるだろう
ドアの向こうの永久のブロウ・ザ・ウインド
知らず知らず開いてたぜ
内側からしか開かないドアはな
やがてスコールは降り注ぎ
セメントの森は謳歌し始める
霧深く先が見えない未知なる道のり
誰も知らない森をずぶ濡れのシャツが乾く暇もなく走り出した俺は感じてる
今から探しに行くぜ

2007/04/27 (Fri)

[104] 
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数々の書類や証明書が
君という人間を語ってくれるなら
僕らの間に会話はいらないね
提出の義務さえ怠らなければ
僕は君の友人と呼べるだろうから

だけどそんなのは望んじゃいないんだ
君の誕生日や携帯番号
好きな食べ物や音楽などは
たまたま覚えたに等しい
いつかの日の記憶でしかない




ねえ君


僕が本当に知らなければならないことは
君の喜怒哀楽
それらの起こりの理由なんだよ

2007/04/27 (Fri)

[105] 無題
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おまえに優しくされるたび
今まで必死に踏ん張ってきた心が折れそうになる

おまえに寂しい?と質問されるたび
寒さに耐えてきた心が折れそうになる



だから
おまえの声を耳にするのが怖い


降り続く雨に馴れきった体は
もはや温度を必要としない



もはや


もはや


触れるな


触れるな


俺は誰も必要としていないから

もうやめろ

2007/05/05 (Sat)

[106] 無題
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寂しさと淋しさは異質の存在

俺の手のひらは寂しさだけを

ずっと握りしめてきたんだ

真夏に雪は降らないように

真冬に日照りはないように

在るべき時間に在るべき物があるように

2007/05/09 (Wed)

[107] 無題
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毎週末SQAULLでハードコアに皿を回してたタフなあいつは今頃きっとな
カリブ海のどこかでラムを回し飲みしてて
一夜限りの蒸し暑いセッションや熱帯のバラード
ブラカリシャスやトゥパック・アマル・シャクールのファンク・オルガニズムに身を浸してるんだろう
俺は今も相変わらず難解な言語やパスワードや
世紀越えにも耐えうる数々のバースを紐解いて
ぼんやりと沈黙を積み上げるだけの月を眺めて
次に会えた瞬間のセッションをシミュレーションしてるぜ
お前のビートはまるで命を焼き焦がすような激しさとガラス玉みたいな繊細さで
太く逞しくコアでラフでラブアンドピースだった
そっちの星空もこっちと同じだろうか
定員割れした孤児院みたいに
星くずで満杯の空からこぼれた流れ星
いつまでも尽きない輝きに
俺達の未来をも見透かすように

2007/05/09 (Wed)

[108] 電線
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都会から電信柱が消えた時
空から電線も消え去った
災害時には便利らしいし
道の往来の邪魔にもならなくなった
なにより狭かったはずの空が急に広がって
雲の流れ方の研究に差し支えがなくなった
田舎の町では木製電信柱が健在で
歩道の真ん中に備え付けられてるもんだから
自転車での行き来にとても邪魔であるし
急に車道に出てくる自転車を邪魔そうに
軽トラや乗用車がよけていく
その一方で田舎の町にはビルがないので
電線の数もそれほど気にはならず
都会のそれとは違った広い空
ずっと昔から雲の流れ方の研究は続けられてた
俺が住むのは田舎の町で
隣の家のばあちゃんとも仲良しだ
朝方犬の散歩をする人たちとも挨拶する
それが普通の毎日だけど
都会にいた時はそうじゃなかった
近所で新しく建築中のあの家にも電線は繋がるだろう
昔から在った一軒家にもそれは繋がっていて
ある程度遠くの建築物にもそれは繋がっている
都会の電線と田舎の電線
文明が進んで消えつつある物
文明に置かれ続いていく物
どっちが良いとも言えず
中間あたりでぼーっとしている俺がいる

2007/05/11 (Fri)
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