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望月 ゆきの部屋  〜 投稿順表示 〜


[120] 待ち伏せ
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

地下鉄の駅のホームにいると
いつも あなたが
階段をおりてくるような
そんな気がして
そちらばかり 見ていた

発車のベルが
いつも
この ささやかな待ち伏せに
終わりを告げる

今ではもう
あなたとは 遠く

今ではもう
地下鉄の階段をおりてくるはずもない

恋が終わった今も
これからも
この待ち伏せは 終わらないのだろう

2004/03/28 (Sun)

[121] それならそれで
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なんだって

いつだって

白黒はっきりせさようと

するなよな


こんなふうに

曖昧がいちばんってことだって

あるってもんだ


こういうの

逃げてる、って

負け犬、って 世間は言うのかな


それならそれで

案外うまくいったりするってこと

証明したいと

思ったりしたことないかな


すくなくとも

ぼくは そうだ

2004/04/25 (Sun)

[122] サンダル占い
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果てしなくつづく
この空の向こうに
宇宙は 存在している

それだけは 紛れもない

空と宇宙の境界線まで
サンダルを蹴り上げて
明日の天気を占う

落っこちてくるまで
階段に座って
じっと 待っていよう

結論は自ずと出るものだ

サンダル占いで
晴れが出たら
明日 きみに会いに行こう

会って 好きだと伝えよう

2004/03/29 (Mon)

[123] 春が来た
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春を待っていた

電信柱の脇に
タンポポが顔を出して

庭のハナミズキの枝先に
小さな葉が芽吹き

桜が 今何分咲きだとかって
世間が騒がしくなったり

それでも まだ
春を待っていた

あなたがそれを連れてきた

小高い丘の上から
腕を伸ばしたまま
ごろんごろんと
愉快に転げながら
わたしのもとにたどり着いた
あなたの体のあちこちに
春のカケラがくっついていた

それは 恋か
それは 涙か
あるいは ただの切れ草かもしれない

ただ たしかなことは

あなたが春を連れてきた

2004/03/31 (Wed)

[124] 誰でも
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

ぼくは うれしかった

誰でも良かったの と
きみは 言った

誰でも良かったと言われても
ぼくは うれしかったんだ

だって
誰でも、にたまたまぼくが遭遇したんだ


絶妙なタイミングだろ


2004/04/02 (Fri)

[125] 電子ピアノ
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ぼくんちの黒い電子ピアノは

いちばん右の鍵盤が

壊れて 音が出ない


あんまり使わない音だから

いいんだ と

まわりのみんなには 言っている


けれど

ぼくは 時々真夜中に

もしかしたら鳴りはしないかと

ためして鍵盤をたたく


昔っから

あきらめが悪いんだよ


たしかなことは


音の出ない鍵盤が 

この先 どんなに増えたって

きっと この電子ピアノを

ぼくは

捨てられないんだってこと

2004/04/03 (Sat)

[126] 悲しがるきみの隣で
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悲しがるきみの隣で
あまりにも無力な
ぼく

悲しがるきみと一緒に
悲しがることはできる
けど
代わってあげることは
できない


きみがその小さい体で
めいっぱいの悲しみを受け入れようと
めいっぱい努力しているとき
そっと背中に手をあてること
しか
できないけれど

それでも、きっと
いないよりは、ましだった

いないよりは、ましだった 
よね



2004/07/31 (Sat)

[127] 降るコブタ
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もう 
どうにもならない、と判り
前にも後ろにもすすめずに
つり橋の真ん中で 
たちすくんでいた

ここまで来ただけでもいいんじゃない、と
きっと誰もが口をそろえる
けれど 
そんなことはどうでもいい

呆然としていたら
下から風が吹いてきて
つり橋が揺れ 
ハッと我にかえった

どうしたものかと思って
空を見上げたら
雲の間から 
たくさんのコブタが降ってきて

ぼくは
ちょっと 笑ってしまった


笑ってしまったんだ

2004/07/31 (Sat)

[129] あいあいがさ
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つれづれに

ペンをとってみると

ぼくのノートには

きみのなまえと ぼくのなまえの

あいあいがさが いっぱい


かさの真ん中の線

まちがってかいちゃって

あせったりして


こんなとき 

ちょっと しあわせ

とか おもったり

おもわなかったり 

2004/07/31 (Sat)

[130] サクラ
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3歳のぼく
父にねだって 枝をポキリと折る
そこに罪悪感などなく
ただ キレイというだけで

5歳のぼく
花びらをむしっては 
おままごと 
おもちゃの茶碗にてんこもり
「さあ めしあがれ」

10歳のぼく
舞い散る花びらをよけて
自転車で並木道を走り抜ける
花の美しさには 目もくれず

16歳のぼく
いっちょまえに恋なんてして
はじめてつないだ手のひらには
花びらが
ひらりと舞い込む隙間もない

25歳のぼく
いくつもの恋を経て
時にはひとりの春もあった
それでも毎年花は咲く
ぼくの無関心をよそに

30歳のぼく
つぼみが開くのを待って
並木道を歩きにでかける
きみの手との間に
もうひとつの小さい手をはさんで
歩幅せまく歩いていく

これからのぼく
来年も そのまた来年も
桜の花がきっと咲くように
来年も そのまた来年も
しあわせの花がきっと咲き続けていくことを
切に願う

2004/04/05 (Mon)
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