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遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[269] 片言
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かたこと
かたこと
かたことと

たどたどしい
この
かたことが

ひびいておくれ

かたこと
かたこと
かたことと

2020/03/15 (Sun)

[268] 
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海はいい

言葉の飾りつけなんて
全くいらない

戯言を
誰にも
許さない

波打つ
事を
滞らない

2020/03/15 (Sun)

[267] 在り処
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片言でいい
花咲きたい
見向きされる望みすらいらない
片隅へ投げ捨てられ
花咲く心地で
自分だけの中に
後悔の無さを
拠り所に
花咲きたい

咲く時期を逸した
蕾みで

2020/02/24 (Mon)

[266] 馬鹿言ってんじゃないよ
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十年程前に
会社を退社して
起業した二人の元同僚がいる
帰宅途中に
久しぶりに会いに立ち寄ると
あの頃に
タイムスリップしたみたいで

自宅兼作業場
狭く小さな会社だが
壁には二人で何処かの写真館で撮った
凛々しい写真が飾られている

顔にも言葉にも出しているつもりはなかったのに
二人の優しい気遣いが
ひび割れた心に染みわたり
本当に有り難いと思った

「俺もここで一緒に働きたい」
そう言いたい
ドブ川の傍らであろうと花は咲くし
晴れてさえいれば
水面に爽快な空も映る
でもそれは
俺から見た景色で
彼らにとっては向こう岸の人間の絵空事なのだ

帰宅して
ビール呑んで泣いて
眠る

2020/02/22 (Sat)

[265] 二人
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母の泣く声に
ふと目を覚ます

俺がかわってしまったから
なのか

父さん
俺が貴方なら
もっと労ってやれた
酒も博打も女もやらない
家に帰ると庭いじりと横になるだけの
真面目一徹の父親だった

人生が二度あっても
二人は互いをまた
選ぶのだろうか

母は奔放な子供らに苛つく毎日で
いつも不機嫌で
僕は優しくされたくても
自分が馬鹿なのがわからなくて
寡黙で動物好きな父親に惹かれた

親父が夜、隣にいないと
怖い夢ばかり見たから
親父が残業になったら
親父の枕を抱きかかえて眠るような
そんな子供だった

昨年親父は亡くなった
病院から実家に持ち帰った親父の亡骸は
ドライアイスで冷やされ
翌日にはカチンコチンになっていて
着替えさせるのに一苦労した

それは母さん
母さんが亡くなってから
15年後の冬にだよ
実家のタンスの母さんの引き出しから
誕生石の指輪がたくさん
山ほど出てきた
俺はやっぱり
今も馬鹿のままだた

2020/02/16 (Sun)

[264] ファミリー
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障子を貼り替えて
良い気持ち

給与を下げられても
手慣れた仕事は
順風満帆

家族と
どこへ
行こ

2020/02/11 (Tue)

[263] 辛子明太子
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頭を下げられない

心底弱いのだろう

ビールのあてに辛子明太子を覚えた
臭いけど美味いよ
この口ん中でバラける
細やかな一粒一粒が命になりたかったであろう
それぞれを噛み締める

美味い

人なんかに味わられる為に
鱈も身ごもる仕度をしてはいまいに
なのに美味い

子を思うなら
俺も自己犠牲的にならないと

美味い

2020/02/11 (Tue)

[262] 川遊び
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さざめく流れに
りょうの手で岩を頭の上に掲げ
ぶん投げる

天気はいいけど
少し寒い

また
りょうの手で岩を抱え上げ
叩きつけるように投げ落とす

彼女は
「人が退屈だとか、つまらないだとか
そう言えるありきたりな日常が欲しい」
と言って居なくなった

水しぶきで服が濡れる
余計に寒くなりそうでも
日差しが慰めてくれていた

帰ったら
破れた障子を
貼り替えたい

昼寝してから

2020/01/25 (Sat)

[261] 散策
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炎のように燃える色した気球が
水平線に舞い降りる

さっきまで
眩しすぎて
やっと、まるいことしか
わからなかった太陽が
もう容赦するかのように
水平線に遮る雲もないまま
だんだんとおとなしく
吸い込まれていく

岬には
夕日を見に向かったのだけど
見上げた白い灯台を囲うような
手摺りの間仕切りの向こう側へ乗り越えていくと
釣り場がある
荒磯の先端にたたずむ一人の釣り人が見えたが
途中足場の悪い岩肌から断崖の下を激しく打つ白波に
足がすくんでしまっていた
十数年程前なら
勇んで車へ竿を取りに帰り向かったであろう、この足が

太陽は沈み
皆帰って行く
夜釣りに備えた竿先のケミホタル※が
灯台を囲う手摺りの内側から
磯の先の空に灯って見えた

※(ケミホタル
魚のアタリを見極めるため、竿の先端部に取り付けたりする小さな化学発光体)

2020/01/13 (Mon)

[260] 贖罪
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蒼いイルカの背びれが
月に淡く照らされた
風の無い凪の海原を裂くように
ゆうゆうとゆっくり
姿をあらわす
朦朧体の完璧な陶磁器
柔らかいようで消え入りそうな
括弧としたなりゆき
紫陽花色の艶めかしさを
つやつやと照らし
輪郭を目で探そうとすると
水面を堺に滑り消え
ペン先さえ表現的に追いすがれない

枯葉色したカタツムリが殻を傾け
大木の切り株の縁を
無駄でない事の裏と表側を探し
渦巻く時計の自動巻きで
めくるめく今を這う
鍾乳石の出来上がる
幾万年幾億年のしずけしさ
誰の愛おしさにも繋がれず
ノートに鼻を押し押し当てた
その匂いだけでは
真っ白い紙面を凝視するしかない

私には
これは死なのか生なのか
全く違う革新なのか
潮の香り、土の匂い
相反する互いが読み手と私すら困惑させながら
私はどうでもよくない
大切な存在としか分からない

どうしてこんな私が


2020/01/02 (Thu)
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