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千波 一也の部屋  〜 投稿順表示 〜


[719] にらめっこ
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ひとつ

勝負をしませんか


少年少女にやさしいあそび


せーの、で

向かい合ったなら

互いにえがおをつかまえましょう



 これまでのこと
 
 これからのこと

 ひみつのままではもったいないから

 いそいでえがおに

 かえましょう



ほほえめば、勝ち


さきに

こぼれたら、勝ち


ただし

ごまかしやいつわりは違反です


おとなのつもりなら

おもいっきりあそびましょう

ルールをまもって

けんめい、に



ひとつ

勝負をしませんか



 向かい合うのは知ってる鏡

 ときを味方に

 やわらかく



せーの、で

向かい合ったなら

少年少女は走りだす

忘れることもときにはきれい



 うるおえば、勝ち

 あふれても、勝ち

 はじけても、

 ひそかでも、



2006/12/21 (Thu)

[720] 星座
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 誘われるがままに満ちて

 そこから浴槽は沈んでいった



ずぶ濡れている猫の目に

だれかが今夜もつきを呼ぶ


いっそ炎を浴びてしまえたら


それは

手遅れかも知れなくても

いっそ炎を迎えてしまえたら




 つながれていた約束を

 うつくしい刃物に感じた日

 声はいつでも

 てのひらを補うための

 ぬくもりだった

 それは

 まぼろし、などではなく

 語り継いでゆくことの

 けなげなかすり傷




射られた弓矢は

二度とはじまってゆかない


伝説ならば、なおのこと



 洗いたての髪は甘く香る

 けれども色は深まるばかり

 からだは

 どこまで正確だろうか

 すり減ってゆく石鹸を手に



送りのすべは見つからない

はるかな景色を絵画と知るだけ



 銀貨の輝きは無限のさざなみ


 名を持たぬまま

 旅人たちが引かれ合うだろう



すべての窓がなくした夜に


2006/12/25 (Mon)

[721] やわらかいものたち
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みなもの月が

やわらかそうで

みんなたのしく眺めていたね


そして

だれかが

つかまえようとして

バシャリと濡れてしまっていたね


それを

だれかはよろこんで

違うだれかはともしびにして

なまえを呼んだり

うたってみたり



 あの日の

 みなもに生まれた波は

 すべてをつないで揺れていた


 みんなたのしく濡れていた



届かぬものに

背を向けたとき

そこにはじめてほんとが咲くよ


おわりを数える時計がすすむよ




 さよならの指紋とあきらめの関節

 たとえばそれが

 ありふれた叙情だとして

 どの手がそれを望んだだろうか


 やわらかいものたちが

 やわらかく溶けてしまわぬように

 願った分だけ

 熱は過去に消えて




今夜、

みなもの月は

逃げ出しそうで

ひとりいそいで目をそらしたよ


ただあてもなく目をそらしたよ

うるんだ

みちで


2006/12/25 (Mon)

[722] 蛍火
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月へとのぼるその羽を

それとは知らずに

燃やすひと


あなた、涙ぐんでいますか


なつかしさをふところに

あたためる月、

とどかぬ月、

です



添い寝のほとりでささやく白は

ときをやさしく

凍らせます


目にみえるのにたどれない

そんな家路をご存じ、

ですね



孤独の背中はなだらか、です


誰かの足にいたみやすくて

誰かの足をたやすく

さらい、


うさぎ、

いつかの昔のかなしいうさぎ、


ふるえていました


川をはさんで

ひとりずつ

ふるえていました



うたがいは無く

まっすぐ、でもない


ゆめと呼ぶには

感じ過ぎるさなかは

やまい、

でしょうか


ねぇ、ほたる



2006/12/25 (Mon)

[723] グリーン・ノイズ
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赤信号に待たされること


そのうえをゆく安息は

無いかも知れない



 エバー・グリーン

 常緑の日よ

 きみを

 迎えるそのために

 花冠をこしらえよう


 微笑んで

 ひとりずつ

 巨大な輪となろう
 

 花冠はうつくしき極刑


 こどもは急いで

 おとなになりなさい


 エバー・グリーン

 常緑の日よ

 この呼び声こそが

 もっともらしく季節をさまよう



平和のために争いなさい


きずなのために

裏切りなさい


はやりうたの上澄みは

そんな指図にまみれていないか




 動くということはひとつの傷


 だれかをかばって

 その向こうのだれかもかばって

 気付けば自分もかばわれて


 かわいた風にも

 涼しさ思えばそれで終わる




あしたのうたはひとつの墓標


緑のフレアに

ただただ、夕日はサイレント

2006/12/25 (Mon)

[724] ペンギン・パレード
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きみが

悪意を込めたとしても

あのひとは微笑んでいたから


受け取るすべに長けなきゃね



小さいけれど

ふたつも貰えた手だからね


だれかが

侮蔑を込めたとしても

包装はゆっくりほどきます

それが贈り


ひらかれてゆく、ふたり




 よちよち歩きのペンギンさん


 そこは大地ですか

 それとも


 いいえ、

 尋ねるということは

 ひとつの答を確かめたいからで

 わたしはつまり

 空から落ち

 た




パレードはいつもあざやかです


想いのひろさに囚われて

あらゆる鉄の

その火花


だれかがみとれる、

ただそれだけで

極地は

たやすく

語られます


パレードはいつもにぎやかです


海にも

空にも

大地にも



2006/12/25 (Mon)

[725] 空蝉
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そっと

持ちあげようとするほどに

ゆびさきは震えて



過ぎ去った季節は

こんなにも重みがあったのだ、と

追いつけない風に

ただよっている




虫のいのちは淡いらしい


されど

さみだれ、あじさい、あまのがわ


ひと夏を語ることばは少なくて

触れられもせぬおもいでに

着せられてゆくばかり


秋も冬も

春から遠い


朝も昼も夜もひと夏と変わりなく




瞳のそばでくずれる殻よ


それは置き去りのかたちか

それともうつろか

まったくの

うつろか




そらは

どこまで連れ添うのだろう


あいにくと

何もかもが透けてしまうから

けれど

それゆえにこそ

つばさはゆるされる


消えゆくものにふさわしく

たよりないつばさが

ゆるされる


淡くもうつつを呼ぶならば


2006/12/25 (Mon)

[726] はじめまして
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わかり合えたら素敵だね


そういうことを

忘れずにいられたら

なお素敵

だね



途方もないことは難しくて

些細なことでも

難しい


分けることの意味について

だれか暗誦できるかい



身に余るものごとは

とめどないけれど

いさぎよい身で在りたいね



いつだって

いま、から順番に

うしなってしまうときの輪に

自嘲ではなく

あきらめでもなく

乗り継ぎ慣れた旅人だね

だれもが

同じく




「いつかどこかですれ違いましたね」


気のせいかも知れなくても

幾度も交わした言葉かも知れなくても


わかり合うために

はじめまして、と挨拶を



変わらないものと変わるもの

車窓はながれても

鼻歌にすべてを

あずけて




ときを味方に

羽ばたくために


はじめまして、と挨拶を


2006/12/25 (Mon)

[727] わたりゆく手紙
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想いと

ことばは

まったくのべつもの


あまりにも似通っている、べつもの



うまれた想いを、

そのままことばに乗せられる、と

そんな気がしてしまう


ことばの背中に、

想いのすべてが乗っている、と

そんな気がしてしまう


けれどふたつは重ならない


重ねたくない

というわけではなくて



単純と呼ぶべきか

複雑と呼ぶべきかはわからない

ただ、

想いとことばは

重ならない


しかも、ときどき




わたりゆく手紙は

いろを持たない、いろ


それは

おもいでだけで描こうとする

虹のなないろ、

のような


わたりゆく手紙はひとひらのいたみ

時のきざみを嘆くのならば

文字のきざみも

わかるはず




ふれる、ということは

ふれられていること


与えるものと与えられるものとが名前



かぜの迷路には

しるし、があふれている


2006/12/25 (Mon)

[728] 黄金へ向かう鳥
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飛ぶ鳥の名前などは

どうでもいいことかも知れない



晴天をかもめ、

夕暮れには

からす


一応の名前で

呼んではみるけれど、

きっと何かが間違っている



かれらは一途に、


おそらく

方角という意味にはまよわずに

空をゆくもの、


黄金へ向かう鳥




傷口からにじむ流れは

錆びた鉄だと

ひとは、

云う


わたしたちに

金曜日のくだりは終わらない




まばゆいものには目をとじて、

あらがうことも

そむくことも

ゆるやかな

封印



存分に焦がれたてのひらだけに

鍵は光と去る、かも知れない



縛りつけるすべてを解き放つ、

そのすべはだれもが

その背に

きっと


黄金へ向かう鳥、


きれい、と

うつむい









2006/12/26 (Tue)
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