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花房優希の部屋  〜 新着順表示 〜


[12] 記憶の住人
詩人:花房優希 [投票][編集]

信じることを止めた

貴方を信じることを、放棄してしまったの

だから、私は貴方を忘れるわ

微塵も残さずに、跡形もなく

すべてはあの日の雨に流されたかのように

あの涙とともに、ひとつずつ私の中から零れ落ちていった

部屋に置き去りにされた思い出さえも捨ててしまって

けれど、どうしても消えないものがある

どうしても消せないものがある

私の、心


この目が光を知らなければ

この耳が音を知らなければ

この唇が言葉を知らなければ

この心が愛を知らなければ

貴方を思い出すこともなかったのに




私は未だ 鍵の開けられた檻でひとり動けずにいる

2008/04/26 (Sat)

[11] 快楽の逃亡者
詩人:花房優希 [投票][編集]

アンタの声を覚えてしまう前に

アンタの声が染み付いてしまう前に

アンタの声を、忘れてしまえる内に


どこか、とおくへ、逃げてしまいたい

こんな、月夜の暁に

つれてって

誰か、さらってよ

痛みを知らない夢の世界へ

天国行きの切符なら持ってるから

だからどうか迎えに来て

最後まで意地悪く足掻こうとする私を

今宵も貴方の腕の中で列車が来るのを待ってるの

ねえ

嘆きなんて要らないからさ

とっておきの喘ぎを与えて



こ の 息 が と ま る く ら い に 。




目を瞑れば3・2・1

とっておきの天国に御招待

2008/04/26 (Sat)

[10] 自傷の理由
詩人:花房優希 [投票][編集]

気付いて欲しくて

気付かれるのが怖くて

相反する心は押さえを効かずに独り走り

助けてと叫ぶ勇気がなくて

異質なものを見る目が耐えられなくて

私は今日も紅い涙を流す

傷だらけなこの腕は

寂しがりやの証

私が生きてる証

ねえお願い、

「止めろ」なんて言わないで

幸せになりたいなんていわないから

せめて、許して欲しい

こんなことでしか生きてるって思えないちっぽけな私の存在を。





「助けて」

気付いて

「助けて」

気付かないで

だって


「私はここに生きていたいの」

2008/04/26 (Sat)

[9] 忘れ人
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貴方の色に染まった部屋には

今でも独り善がり 想いだけが溢れかえって

遠くの人を振り返り目を瞑った

裸足で茨の上を歩いているように痛かった

血だらけの包帯は葬り去られ

カサカサの瘡蓋を弄ぶ

愛を語った指先は 今ではすっかり傷だらけ

癒えない過去を引き摺っている

カーテンを開けないのは

外を見るのが怖いから

貴方がいないのが怖いから

「明日」を見るのが、怖いから



愛を知った私は臆病者



縋り付いて泣き叫ぶことすら出来ない

愚かで卑怯な道化師

笑顔さえも忘れてしまったよ

軋んだ胸は貴方ばかりを追いかけて

はやくおいでと声をかける

彼岸の向こうに君を知る

いつだって私は置いてけぼり

貴方の背中を見つめてる

ああ、まだ当分

私はキミを忘れられそうにないようだ

2006/04/22 (Sat)

[8] ツギハギ
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溶けるように 踊る

甘く苦い熱の中

私は蝶のように舞った

ひらり

ふわり

闇に紛れるように、泳ぐように

カラダを蝕むは、塩酸の海か

沈みながら光を見た

反射して、歪んだしろい閃光を

継ぎ接ぎの心は鳥に喰われ飛び散って

残ったのは、役立たずな精神

残像だけがゆらゆら揺れている

「思い出」という名の、キレイな虚実

そうして、





ワタシは人の形を亡くしてゆく

2006/04/21 (Fri)

[7] 無限ループ
詩人:花房優希 [投票][編集]

きっと私は眠りから目覚めない

いくら怒鳴られたって目覚めない、夢の世界

まどろみは苦しさを持て余して

淡い浮遊感に酔い痴れる

空も飛べると稚拙に信じてた

それは嘗て夢見たネバーランドのよう

自由な国を求めて駆け巡る

明日はいらない

今日がほしい

願いは儚く残酷で

信じることをしなかったのは

物語の終焉を分かっていたから

寂しんぼうだった私は今でも夢をみる

哀しみに染まった夢をみる

ピーターパンはケラケラと笑った

ティンカーベルは魔法をかけない

それは朝焼けを催すものか

夜明けが直にやってくる

それでも私は目覚めない

永遠の眠りのなかで、乾いた心で笑い続けるの

涙でぼやけた世界を、哂いながら

ずっとね

ずっとね

貴方の声で目覚めるときを、待っていたかった




きっと私は目覚めない

2008/04/26 (Sat)

[6] 六月の蜃気楼
詩人:花房優希 [投票][編集]

雨が降った。

花が散った。

愛が終った。


愛していたと、

過去形にして叫んだのは、遠い昔。

今でも時々振り返る。

色とりどりの傘をすり抜けて、君の面影探すよ。

どしゃぶりの視界は蜃気楼のようで。

遠い君がそこに居た。

伸ばしても届かない手は、何も捉えずに。

ただ、君が笑っていたので笑ってみた。

歪な笑顔は想いの証。

いまでも君を愛している。

役立たずな口は、ひとこと想いを吐き出すよ。

「さようなら」



虹も出ない、泣きたい六月の午後。

2008/04/26 (Sat)

[5] Time after time
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何度も 何度でも

私は生まれ変われるの

貴方の傷だらけな腕の中

ちっぽけなその声の中でだけ

私は何度だって生きてゆける



朝を迎え はじまりの鼓動が鳴り響き

夜が覆い 枯れ果てた貴方が胸を貫く

目覚めはいつか。

途絶えはいつか。

そう問いかけるは何もない



「だって貴方はそこにいる」

「だって私はここにいる」



そう、

いつだって どこだって

何度も何度も

何度も何度でも

2008/04/26 (Sat)

[4] 泡沫夢幻
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幸せな夢を見た。

現実には在り得ない夢を見た。

それがこんなにも欲しかったのだと、切なかった。

痛かった。

いくら祈っても、欲しても、届かない。

我侭に「ホシイ」と言えれば、何か変わっていたのかな。

けれど、それも全ては過去の話。

貴方はきっと泡沫人だったんだね。

笑みだけ残し、逝ってしまった。

残酷な人。



酷く 狂おしいくらい に。


(どうか消えないでと泣き叫んだは、泡沫の幻)

2008/04/26 (Sat)

[2] 君が愛しい。それ故に。
詩人:花房優希 [投票][編集]

ちっぽけな声だったけど

僕の耳に届くには、十分だったんだ。

かすれた叫びだったけど

僕の心に響くには、十分だったんだ。

ちぎれた祈りだったけど

僕の腕に抱くには、十分だったんだ。





(君ノ嘆キ。僕ノ痛ミ。)

2006/04/16 (Sun)
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