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大示の部屋  〜 投稿順表示 〜


[201] 君の海へ
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微睡みの街を夜明けとともに
飛び越えて
眠らぬ涙の集落へ

夜毎訪れる君の幻を
不確かな夢の中で眺めた

忘れられぬ喪失感と
忘れたい苦しみのはざまで

想いすら揺らいでる
こんな僕は要らない

柔らかい時は躊躇い無く過ぎゆき
僕の魄を拐っていく


集まれ、嘆きの雫達
苦い羊水の中で眠らせて


漂う海風も懐かしい君の香り

聞こえるサザナミも
君が歌う子守唄


今もまた、何処かで生まれ落ちる
悲しみの涙よ

おいで、母なる海へ

2009/03/06 (Fri)

[202] 戦地で願う
詩人:大示 [投票][編集]


この手で救えた命など
どれほどあったろう

神様、叶うなら
次こそは誰の魄も溢さないように

願いは届きますか



荒れた地を見下ろす
広大な星空に

罪深い男が息を吹き掛ける

戦火の名残が
想いを邪魔するのなら

『夜風を呼び、かきけそう』

人知れずの戯れ言は
気まぐれな風に弄ばれて
明日へと届く


形振りかまわぬ願いは
届かないのだろうか


終わりの無い、
無意味ないさかいに
全てを賭けるくらいなら

この願いに



私が私として、ここに在るのは
今さら、どうしようもなく

いつ失うか
誰もわからない命を懸け願うのは

あまりに愚かだろうか


命、行くとき
流れ星が空を駆けるという
私が去るときも
誰かが星に願うだろう

何処かで、きっと


2009/03/07 (Sat)

[203] アンバランス
詩人:大示 [投票][編集]


君と不釣り合いな香りが
僕を遠ざける

誰が選んだの?
僕にとっては毒だよ、なんて
言える立場じゃない

君にとって僕は、ただの友達

わかっていても

アンバランスな香りが
僕を苦しめる


散々だった一日の最後に灯した
アロマキャンドルは
あの香りに似て

重い不意打ちを喰らった僕は
ふて寝することを決めた


2009/03/07 (Sat)

[204] 白い空箱
詩人:大示 [投票][編集]


白い寂しい空箱に
ペンで似顔絵描いてみた

君の笑顔を思い出し
甘いケーキを閉じ込めた


また、からかわれるかな

また、笑ってくれるかな


僕の好きなあの笑顔で



あの時のプレゼントのお返しに

気合いの入ったショートケーキ


カッコ悪くなんか無いよ、きっと

贈りたい気持ちに
嘘をついていないから

2009/03/07 (Sat)

[205] 空虚なアトリエ
詩人:大示 [投票][編集]


出逢い別れの季節なんて
今の僕にはピンと来ない

年がら年中荒れた部屋で
見ざる聞かざるの僕には


動くのを止めない無神経な時間と

変わっていく温度が
動けない体を追い詰める


この荒れた場所で静かな部屋は
髪一筋も残さず旅立った
あの人のアトリエぐらいで

描きかけの一枚の似顔絵は
ぎこちない笑顔の僕


永遠なのは冷たく動く時と

薄いカーテン越しに見る
堂々巡りの季節達


世界から忘れられた暗い部屋を
秘密基地にした僕は

もう一人の僕と、同じ様に白い世界で

ただ、笑っている


2009/03/09 (Mon)

[206] 不確かな存在
詩人:大示 [投票][編集]


在るのか、どうかもわからない

自分の事など確かめようがない

意味もなく不甲斐なく叫んでは
自分の小さな存在を感じていた


『切ない』とぼんやり呟いて

カタカタ震える両手を握りしめる

冷たい空気の中めぐる血を感じて
生きていると、涙を落とした


できるなら、見たくなかった
こんな僕は


せっかくの薬さえ効きはしない

許せない事ばかり多すぎて

なのに一歩も動けなくて


臆病な奴だと、呆れ果てた

2009/03/09 (Mon)

[207] 細やか
詩人:大示 [投票][編集]


あなたの無口が私を安心させる
あなたの些細な言動が
私の心を引き寄せる


何も語らず、富無くても
誠実な、あなたがいる

ならば私は賢くありましょう

時折の小さな愛情に気づいた様に

つまらない、その場限りの見栄に
惑わされず生きられます様に

2009/03/13 (Fri)

[208] いつものように
詩人:大示 [投票][編集]


夕日に抱かれた白い部屋
切なさ香るその色に

思わず景色が揺れたのは
朱色が怖くなったから


『夕暮れ時の風物詩』と

遠い時間が囁いて

『わかっているよ、そんなこと』

今の僕が呟いた


本当の独りきりなんて
知っているわけでもないのに

それでも涙が落ちるのは
僕が甘ったれだから

こんなんじゃ、笑われる
なんでもないふりをして

いつものように
おどけてみようかな

2009/03/19 (Thu)

[209] カメレオンレディ
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私の真似なんて一体何のつもり?

オリジナリティないのかしら

私とあなた、どう見ても別物よ

細胞全部換えて出直しておいで!


美しい色鮮やかな森に
全てを否定されたカメレオン

『自分の身を守る変身』
それは
『過酷な世界』で生きるために
必要不可欠なことだった


2009/03/24 (Tue)

[210] 幾星霜
詩人:大示 [投票][編集]


黒い静寂に、雫の呟き
聞く人なく溶けていく

幾星霜の涙、岩の牢獄に
深い穴を穿った

風が行き過ぎ、洞をくぐり
強く慟哭させる

ざわめきが、こだまして
深い青を揺らし明日へ


会うこと無い、誰かに届き
一滴の涙から全てが生まれ
風に浚われて駆け巡る

2009/03/27 (Fri)
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