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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[702] ベガ
詩人:さみだれ [投票][編集]

真っ平らな世界に生まれたかったね
静かな海に溺れたかったね

孤独は嫌だと言いたかったね

半月の兎は餅をついてはいなくって
ただうなだれているだけなんだよ

なら僕は!
そう思う気持ちばかりが寂しくて
死にそうだ と

あなたは希望ばかり歌って
僕はそれが妬ましいと嘆く

あなたは愛されて!
僕は愛されていないと

しくしくと雨が降るそばで
楽しそうに笑って
ターンを決めるなら

僕は傘の中にあなたを入れて
帰ろうって誘うけれど

僕にはもう希望なんて!
そう言えば
あなたは楽しい詩を書いてくれるだろうか

ただこの孤独だけが
空梅雨の夜に乗っかって
僕みたいな人を拐っていく

約束だよ♪
楽しそうに話すあなたに
僕は声をつまらせて

”悲しみは有限でなければならない!”

あなたを愛する気持ちが
化石となって
何万年…何億年…
ぼろぼろになっても
あり続けることを誓う

僕はシロウサギだ!
この夜にうまい餅をご馳走する

そして五月雨だ
永遠の憂鬱を流してやる

そしてあなたへ


おやすみなさい

2013/06/19 (Wed)

[701] desir serieux
詩人:さみだれ [投票][編集]

俺は帰りたいだけだ

月や海でもない

あなたのもとに

夜の中を

駆けていって

あなたの体を抱き締めて

それが世界の何であれ

あなたを愛していることに変わりはない

けれどこの目はもう開けていられないし

足だってあがらない

だからこうして

あなたを思いながら詩を書き

夢に期待するんだ

青い部屋に

あなたの枕元に

俺の心がほんの少しでも残っていれば


難しい言葉が必要じゃない詩は

この一編のみ

あなたを思う詩は

たくさんあるのに

帰り道がまだ見つからない

この詩の行方も

今日の夢のことも






2013/06/18 (Tue)

[700] 燃える海の意識
詩人:さみだれ [投票][編集]

世界を呪い歌う人魚が
苦しんでいるのはなぜなの?

話もできない木のことが
気になる彼はおかしいの?

恋人が離れていく夕べが
忘れられないならどうするの?

身近にあるものを放り投げた
彼女の手には何が残るの?

場違いな白蛇が
居場所を見つけられないのはなぜなの?

有意義な時間に満足した
彼の生き方に無駄はなかったの?

愛するものを探す宇宙人は
今何をしているの?

絶対に終わらない王政が
廃れたのはなぜなの?

気持ちの奥底には
一体何が潜んでいるの?

ありきたりな話を好むのは
いけないことなの?

優しくしていれば
寄り添ってくれるの?

不名誉な死を遂げた
あの老人には会っちゃいけないの?

雄弁に語るのは
傷つきたくないからなの?

滞る時間にすら
満足しないのはなぜなの?

頑なに守ってきたものが
失われた少年の末路はどこ?

新しいものに惹かれた
ゴブリンの思い出はなくなったの?

夢に閉じ込められた
妖精の遊び場を奪ったのは誰なの?

いつか死ぬ運命に諦めた
私の目を見たくないのはなぜ?

必ず幸せになるなら
彼の目に流れるそれは何?

それでもなお世界を呪い歌う人魚が
泣いているのに
私の詩は不愉快になるばかりで
その歌を満足に歌うことも
もうやめた

2013/06/17 (Mon)

[699] 鬼の名前
詩人:さみだれ [投票][編集]

眠る前に
語りかけてくるそれは
猟奇的で
人間がもつ喜びや幸せとは
縁遠いものでした

彼は
脳を支配する
その機会をうかがい
監視しています

科学ではどうすることもできません

そして
それは他人の認識をもたず
またもたれないので
やはりどうすることもできません

かなしいことに
彼は人格へ干渉をはじめ
こころを爪で掻きます
カリカリ、カリカリ
そして
こころはみすぼらしい色をした
いびつな形へと変わることでしょうね

楽な道を
唯一挙げるなら
この身のすべてをあげよう
そう思うこころに
またつめをたてて
飽きないのだろうか

絶対の理性なんてないのよ

きえるべきはさ
彼じゃない
君たち
ここを彼にあげて
消えるべきなのですよ

たまには

自己を見違うくらい
いいでしょうに
世界のすべてを
憶測で語り
彼を忘れることが
低俗であるならば
やはり
暗いもりのなかを
手探りであるくように
やばんで
物知らずのほうが
幸せなのでしょうか
では
彼はなぜ
脳を支配する
狂気に至ったか
いい加減に気付かなくては
というより
認めなくては
それは全て
一切合切
何もかも
私の望みであり
あなたたちの最終進化であり
人類のもつ理性なのです

さて
眠る前に
語りかけてくるそれは
一体いつ
この腕を得るのでしょうか


2013/06/16 (Sun)

[698] 豪華客船
詩人:さみだれ [投票][編集]

”愛してよ!!”



叫ぶ理由を

ここに置いておきます


それから

望むことをいくつか

向こうへ投げておきます


必要な努力を

懐にしまって


熱いアスファルトを

睨み付けます


いざ行かん!

色彩の方舟!

北へと進め!


やがて冷たい雨が

髪や肩を濡らし

目を開けるのもやっとの思いで

後ろを振り向きます


かつて天使と呼ばれた生命が

雨雲の向こうで顔をのぞかせ

とてもさみしそうにこちらを見ています


”さようなら”



手を振るそばで

いびきをかく賢人


航路は長いと

聞かされていたから

だから

私たちは



2013/06/14 (Fri)

[697] 夜間飛行
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ほんの少し
勇気があれば
大好きなあなたが
幸せになれたなら
ほんの少し
自信があれば
優しいあなたが
報われるなら
こんなに
あなたを考えることが
あなたに触れて
弾けたなら
ほんの少し
希望を抱いて
大好きなあなたと
幸せになれたなら
きっと
悪い人や
悪いことが
あなたを傷つけるけれど
ほんの少し
勇気があるから
大好きなあなたを
守るから
それは
夜を飛ぶ鳥のように
不確かな
星に向けての願い
見えないのに
ちゃんとわかるのが
あなたの影
その瞬き


2013/06/08 (Sat)

[696] パーティー
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ウサギの耳を
子供たちは引っ張って
それはそれは楽しそうに笑っている

浮かない顔の
彼女の隣に
紳士はニタニタと笑い近づいて

肝心の主役は
隅の柱にもたれて
うつむいている

白いクロス
染みになったジュースを
名残惜しそうに見つめる

テラスには
罪人が頬杖ついて
夜の闇を気だるそうに見つめる

音楽は誰の耳にも届かず
ただ空気中に消えていくだけ

真っ赤なドレスは被っていた
特別なのは誰なのか

ウサギの耳は
たくさん汚れて
今はテーブルの下に

シャンデリアを
落とそうと企む執事も
今は招待客を見守っている

恋人は
背中を出して
男たちをたぶらかす

肝心の主役は
相変わらず隅の方で
暗く塞ぎこむ

世界の終わりを知らせる
鐘の音が聞こえる

それでもパーティーは続いた
誰かが帰るまで
世界は終わらなかった

2013/06/05 (Wed)

[695] 結晶
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誰かが言うの
隠れてる真実
私の目を覆い隠して!
歩くたび
足がね震えてるの
みんな同じだよね?

君が言うよ
優しい人
僕の手をとって!
歩くたび
声がね震えてるの
みんなそうなんだよ?

ねぇ
見なさい
これは裏の世界
あなたの心が
どうしようもなく痩せてしまった

ねぇ
目をそらさないで
これは他人の世界
あなたの世界が
寄り添って生まれたの

あなたの心だって
誰かが寄り添って生まれたの

だから私は
他人を平気で愛せるし
真っ暗な夜道も
ちっとも怖くなくて
あなたがどこかにいると
そう思えるんだよ

2013/06/04 (Tue)

[694] 詩でありエゴである#2
詩人:さみだれ [投票][編集]

私の名があり
あなたの名がある
私の言葉があり
あなたの言葉がある
私の面影があり
あなたの面影がある
私を知り
あなたを理解する
死んでなお生きる
私の声を
あなたは思いだし

私がここに至るわけを
あなたは知らず
あなたが目指す方向を
私は知らず
手に取るものが違う
目に見えるものが違う
信じているものが違う
堪えているものが違う
だから誰も世界なんてものを
全て知ることはできない
キリストだって
ムハンマドだって
空海だって
ゲーテだって同じ
だって世界の一部だもの
生きていても
死んでいても
それは変わらない

ただそんなものは
詩を書く上では必要ないし
生きているという事実さえあれば
エゴだろうがなんだろうが
詩を書くのが読むのが好きなのであれば
生きていようが
死んでいようが
ここにいてほしい


2013/06/02 (Sun)

[693] これは詩でありエゴである
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それは連続して
我を強調するもの
それは逸脱して
常識をすり替えるもの
それは最も怠惰するもの
最も矛盾されるもの
滑稽なのは
許容量があまりにも小さいこと
そして気づいていないこと
何者にも当てはまること
何者にも染められないもの
何者にも信じられることが
何者にも伝わらないこと
それは音の響きを伴い
無意識の海を泳ぐもの
それは諧謔を交え
愚弄する哀れなもの
それはいつか消える
雲のように絶えず形を変え
何者にも触れられるもの
知り得ないものを思うもの
慢性化した不条理にも
優しい響きが見えかくれする
そんなもの

2013/06/02 (Sun)
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