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秋庭 朔の部屋  〜 新着順表示 〜


[85] かきくけかけっこ
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友だちなら
1+1=2
になる

きみとなら
1×1=1
だっていい

2+2=3の
二人三脚なら
もっといい

2008/04/06 (Sun)

[84] 元気ですかーっ!?
詩人:秋庭 朔 [投票][編集]


「早くしてよっ!」
とコンビニのトイレから
中年女の激しい罵声。
中から出て来たのは
お婆さん。
トゲトゲしい
叱責と態度に
ケバケバしく
こっちの胸が波立つ。

小さくなった
お婆さんの前に
座り込んで尋ねた。

このヒト、
お婆さんの実の娘?
それともお嫁さん?

…娘です。

そうですか…
と言って立上がり
オバサンの目を見る。

アンタね、
この人のおっぱい飲んで
育ったんじゃないの?
夜泣きしてる時は
あやしてもらい、
病気になれば寝ずの看病
毎日ご飯食べさせて貰い
学校行かせてくれて
それで
今ここにこうして
いられるんでしょう?
これがその報いですか?

そんな事、
あんたには
関係ないでしょう!
他人にそんな事
言われる筋合いはない!
行くよっ!

オバサンは
お婆さんの袖を掴み、
吐き捨てるように言って
去って行った。

コンビニのガラス越しに
オバサンが
車の助手席のお婆さんを
二三度叩いているのが
見えた。
シートベルトをするのに
手間取った罰らしい。


「お母さんの
手もお腹も
柔らかくて
ベッドみたい」

そんな意味の詩を書いた
9歳の子供を
母親が電気コードで
締め殺した。


学校や職場、
駅のフォームや
タクシーの中、
今や家庭内でさえ
息が抜けない社会で、
ぼくらはどう生きてけば
いいんだろう。



母親の声が
無性に聞きたくなった。

久しぶりに
電話してみよう。

かあちゃん
元気してる?

2008/04/04 (Fri)

[83] 以心電信
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一緒に食事をして
彼女を家まで送り届け
自分も家に帰り着くと
直ぐに着信音が鳴った。


『?』

たったそれだけの
彼女からのメール。

こっちも
『!』とだけ打って
返信した。

直ぐに電話がきた。



わかった?

うん、
「ウチに無事着いた?」
って意味だろ?

すごいっ!

で、ぼくのは?

「着いた!」でしょ?

違うな

じゃ、なに?

教えねぇ〜

ケチっ

わからなかった罰だ

別に知りたくないから

あっ、そ
じゃ、おやすみ…って
これじゃ切れないよ

で、どゆ意味?

えっとね…

おやすみっ!

いっぺん殺したろか?

2008/03/26 (Wed)

[82] タコのうた
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散文的な日常に
頭抱える手が8本
詩的に生きたいと
願っても
見るも愚鈍な
タコだから
絡まる腕が邪魔をして
お手上げ降参
ままならない

散文的な日常に
言葉吐き出す
おちょぼ愚痴
詩的に生きたいと
思っても
見るも浅ましい
タコだから
淀む口元躊躇って
言いたいことも
伝わらない

散文的な日常に
怒りもどかし
墨をひと吹き

2008/03/25 (Tue)

[81] 3×4×〇=(^_^)v
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肩を落として
△に膝を抱えた

肩肘を張って
□に構えていた

大人気ないと
○くなろうとした

転がり始めた

自由に
何処にでも行ける
だけど
何処にも落ち着けない

凹んだぼくに
凸ったきみが
手を差し出した
凸凹がぴったり
かみ合って
一廻り大きな
□になった
そうだ
△の屋根を乗せよう

もう何処にも行かない
ぼくらふたりのお家

2008/03/23 (Sun)

[80] 和平交渉
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世界平和を
声高に語るのは
すごく簡単なのに
隣でご機嫌ナナメの
膨れっ面を
笑顔に変えるのは
それほど容易じゃない

♪シッロあっげて
シッロさっげない...
......ごめん。
あ、そうだ、
なんか食い行こ?
お腹すいてると
怒りっぽくなるって
言うよ?
え?...ダイエット中?
あ、そう...
まいったなコレ

2008/03/18 (Tue)

[78] 平成ローリンローニン
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誰にも似てない
ぼくを探して
転がり続ける
ローリン・ローニン

自由でいたい自由が痛い

誰にも言えない
夢を抱いて
彷徨い続ける
ローリン・ローニン

結んだネクタイ解きたい

玄海灘が
限界なら
故郷を捨てて
地平線を越え
北へ北へと来たよ
愛する人と別れ
水平線を渡り
南へ南へ皆見てよ

やっと
辿り着いたら
Oh my God|
オマイが
元いた場所

誇りまみれの
ローリン・ローニン
ココロ寒しい
ロンリー・ローニン



脱藩の咎で貴殿に
遠島を申し付ける

シマった!

言うてる場合かっ!

それって
左遷ですか?

そんな事はさせん…

もぅいいっす

牛かよ

モォ〜…

2008/03/14 (Fri)

[77] 勝てないけど負けじゃない
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小学生の時
どんなに殴り倒し
投げ飛ばしても
泣きながら向かって来る
チビがいた
負けを認めない奴と
形振り構わない奴には
勝てないとその時思った


人はどんな事にも
慣れる生き物だ

漠たる不安に怯えて
苦痛を長引かせるより
正体が見えれば
闘う方法も見付かる
と腹を括った

いざ敵が姿を現すと
その無差別級の威容に
何故か笑けてきて泣いた

相手が手強すぎる
勝負にならない
ならば
負けなければいいんだ

苦しみは
苦にするから苦しい
苦しみを
無くするのは無理でも
苦ではなくなる事は
充分あり得る

慣れてしまえば
怖さはだんだん薄れてく
どんな事態に陥っても
たとえ勝算はなくても
こっちは慣れて
強くなれる
永久に諦めなければ
負けにはならない

各停か特急かの
違いはあっても
みんな同じ終着駅

順番が来たら
いずれぼくも下車する
覚えていてくれるなら
いつか
ひとつの空になろう

それまで
ぼくは折れない
きみもまだまだ
その時じゃない

ぼくらには
負けない意志がある
負ける理由なんかない

2008/03/13 (Thu)

[76] グレた理由
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自分が閉所恐怖症で
お風呂のバスタブに
浸かっていると
息苦しさを覚えるのは
羊水に浸されたまま
暗くて狭い子宮に
閉じ込められた
トラウマのせいだと
マセガキ中学生だった
ぼくは
母親を激しく詰った。

母親は

アンタは木の股から
生まれてきたんだよ?

と屈託なく笑った。

あぁ、道理で。
森や林の中を
歩いていると
なんだか
癒され気分になるもん。
オレって
木の精だったんや…て
くらっ!



2008/05/26 (Mon)

[75] 卒業
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「学校また行けば?」

「実はそんな話も
あるんだ…」

エントランスに
アーチのある白亜の校舎

ネットの画像で見る限り
自分も入学したくなる
くらい立派な学校

彼女は再出発の場所を
自分で探し出し掴んだ


「何故か番号あったよ」
素っ気ない
言葉の行間から
押さえ切れない喜びが
溢れてた
「やったー!
やりやがった」
不安を潜り抜けた
嬉しさで、ぼくも思わず
叫んだ

合格おめでとう!



あれから4年
彼女の友だちは
今年3月卒業式を迎えた

彼女は
その場にいなかった
もうこの世にもいない

あの時
長いと感じた未来が
呆気ない程に短い過去
として脳裏を去来する

瞬く間に
流星のように輝きながら
翔け抜けていった
その光の緒は
煌めきを放ったままで
ぼくらの心の宇宙に
刻み付けられた
永久に変わらぬ姿で

2008/03/06 (Thu)
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