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ヒギシの部屋  〜 投稿順表示 〜


[162] 名無しの迷子
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風のない
月の夜
ケホケホ咳が
止まらない

1つする度
出て来やがるんだ
涙となって
こぼれてくるんだ

僕が今まで
呑み込んだ言葉
誰も 僕すら
知らない言葉

出所を誤り
苦笑いを誘発

悲しいわけでは
ないんだよ
悔しくも
可笑しくも
ないんだ

ただ今は
消化不良の迷子達を
一人一人
見ておきたい

名前も知らない
君たちは
いつから僕と
歩いていたの?

2004/09/26 (Sun)

[163] 金木犀
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どんなことを
想っても
どんなことを
願っても

寝転がって
目を開けてると
視界はいつも
青くって

たまにどこかへ
行く鳥を
目で追ったり
追わなかったり

風に乗った
キンモクセイ
昔住んでた
家の玄関

出掛けるときと
帰ってきたとき
パラパラ落ちる
可愛い花を

少し握って
部屋に撒いて
おとぎ話の
続きを捲り

独りで笑って
また出掛けて

どんなことを
思っても
どんなことを
望んでも

流れる雲は
止まらなくって

香る風は
頬を撫でて

2004/10/04 (Mon)

[165] ガジュマロ
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誰かの鼻歌が
微かに聞こえた気がした
肌寒い曇天の午後
風に膨らむカーテンの下
ゆるゆると微睡む

紅茶は切れたんだっけ
じゃあ水で良いや
窓枠の向こうの分厚い雲
汚い世界を隠してる
偶に射し込む光の下には
きっと誰もが羨むような
宝が眠っているんだよ
神様も覗き見するくらいの
素敵な何かがあるんだろう

狭い鉢に押し込まれて
とても窮屈そうな根っこ
300円で買ってきた
緑の葉っぱの幼いガジュマロ
お金で自然を買い取るのなら
端から壊さなければ良い
崩して戻して崩して買って
曇った目玉で繰り返す

奪った分だけ奪われて
それでも歩みを止めないのは
畜生の性か道化なのか

コップ半分飲み残しの水
ガジュマロに流し

また歩こうか

2004/10/07 (Thu)

[166] 糸付き蝶々
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チョウチョって
音もたてずに
飛ぶでしょう

ひらひら ひらひら
舞うでしょう

幻覚かと
思うのさ
だってとても
美しいから


それともココが
幻なんじゃないかって
考えることも
あるんだよ

だってほら
不似合いでしょう
あの蝶に着いてけば
ちゃんと綺麗な世界
あるんじゃないかって ね

2004/10/07 (Thu)

[167] マユミ
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父さん全力で
その人幸せにしたげてよ
私のこと後回しで構わないから
父さん、精一杯
その人幸せにしてあげて

お金あげるのよりも先に
渡さなきゃいけないもの
きっと父さんは持ってるよ
それを私なんかじゃなくて
その人に沢山 渡したげて

父さん、こないださ
初めてケンカしたでしょう
一方的 ではあったけど
おばあちゃんから聞いたんだ
血相変えて 相談したって?
ありがとう それで充分

今年の誕生日
プレゼントを奮発するよ
だから頑張って
父さんも幸せになって
今度こそはその人を
大事に大事にしてあげて

いつかいつか
よかったねって笑うから
原因不明のあったかい涙を
ちゃんと止めて笑うから
満面の笑みで紹介してよ
マユミさん、とやら

2004/10/11 (Mon)

[168] 祖国
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祖母か 祖父か
曾祖母か
もっとずっと
遡るのか

この身に流れる
赤い血に
少しだけ残る
何かの記憶

私は知らない
遠い地に
少しだけ残る
誰かの軌跡

祖母か 祖父か
曾祖母か
私の体の源に
今 今 やっと
会いに行く

2004/11/04 (Thu)

[169] 静かな意地っ張り
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薬を貪る君を
ただ眺めている僕が
君の目にはどう 映るだろう

見てもないよりは 良いと
1人呟く僕は
やっぱり自分が 好きみたい

声をかけてくれさえすれば
いつでも行くよ と
真剣に言った僕だけど
君が何も言わないこと 知ってる

こないだくれた お揃いの指輪
とても救われた 僕が

頼りない とは言わせない
頼ろうとなんてしてないじゃない

ほら 指輪
とても大事にしてるんだ

遠慮なんて 要らないんだよ
何度言ったら 解るんだ

都合が良いとか
利用するとか
汚い言葉 使わないで
肩を貸すから 出てきてよ

僕は僕が 好きなんだ
だから君のこと 大事だよ

2004/11/04 (Thu)

[170] 鉄屑の町
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小さな子供が 鉄屑を
磁石ですくい上げて 遊ぶ
小高い丘の そんな町

冒険気分で 坂を上った
住み慣れた街が 見渡せて
空に一歩 近づく毎に
甘い飴玉 噛み砕く

ジョークだよって 言う君の
真剣な顔が 可笑しくって
吹き出した僕に 君は満足

白壁の 家の隙間
ハイビスカスの 垂れ下がる
明るい階段を 上って
広がる空の 青さに期待

鉄屑漁に 勤しむ子供を
横目で見ながら 頂上目指す
君の背中を 追い掛ける

曲がりくねった 急な坂道
駆け足になる 僕らの足
最後にあのアーチ 抜けたら
そこには きっと


カーテンの 隙間から
太陽光線が 容赦なく差し込む
目覚めの 珈琲なんかより
毛布に潜って 余韻と遊びたい

鉄屑を 磁石ですくい上げた
大きな大きな 鉄工場
今 私は丘の上
白壁の町に 住み着いて

2004/11/13 (Sat)

[171] 昼夜城内騒動
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入場制限を
取り払ってみた

沢山の来客に
立派な城が
崩れ落ちそう

怠惰が
転がり込んできて

真面目と興味が
怒鳴り合い

やる気は塔から
飛び降りて

焦りがすかさず
受け止める


陽気は憂いと
手を組んだ

悦楽は自ら
牢屋入り

関心はただ
歩き回る


王は玉座に
座り込み

罪悪が背後に
身を潜め

良心が側で
道化役


死力は遁走
夢が追う

恋はぼんやり
空眺め

愛は時間と
大合唱

自由は黙々
机に向かい

嫌悪がコッソリ
逃げ出した


自制が惰性を
捕らえる内に

覇気が演説
鎮まれと

2004/12/17 (Fri)

[173] 赤花と白い手の郵便屋
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揺れる手を視界の隅に
見つけたのは何時だったか
向かいの窓の黒猫の瞳が
私の眼を離さなかったのに

色鮮やかな花びらが
血の中に混ざり込んだのだ
ふわり風を掴むかのような
その手が魔法をかけていた

迷路のような煉瓦の町を
走り抜けるあなたは

狭くなった青い空を
見上げる事があるだろうか


黒猫は行ってしまった
カーテンに隙間を作って
瞑っていた金色の瞳が
ほの暗い世界に灯される

私は曇った窓を拭いて
まばゆい光を誘い込もう
白い手にきっと似合う
花を育てて贈るため

額縁のような煉瓦の町を
走り抜けるあなたが

切り取られた青い空を
見上げることがあるのなら
窓から溢れるブーゲンビリアが
それを美しく飾り立てる

あなたの心に花が咲くと良い
私に花弁が吹き抜けたように

2005/01/06 (Thu)
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