ホーム > 詩人の部屋 > 遥 カズナの部屋 > 新着順表示

遥 カズナの部屋  〜 新着順表示 〜


[341] 堕天
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

そらから
みはなされた
こころの
はしくれを
しならせ
たぐろうとしても
こころが
いわれもなく
あらわれていく

まぎわ まぎわ
爪先をひっかけようと
紙面の
滑りごごちを
噛みしめしながら
雨より
そぼろ そぼろ
おちていく

愛して

推敲も抑揚も
比喩さえ
ならない

こうしてこうして
こうして
こう


2022/07/18 (Mon)

[340] スプリンクラー
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

蝉の
真っ黒な眼に
蘇る空

鍵を掛け忘れた気がして
賃貸アパートの
三階へと
階段を駆け戻る

汗だくで
じっとりと手首に巻いた
腕時計の
時刻があんまりで
朝の
分針の速さと
蝉達の鳴き声に

もうこんな時期

微かに
線香の香りがする


2022/07/09 (Sat)

[339] 虚無
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

おいていくよ

どこを探しても

見つからないはずさ

朽ち果てる事から
逃れられないように
ただ、ただ
分からない
と、言う事しか
分からない事からは
誰も逃れられは
しない

だから
こうして、そっと、ここに
おいていくよ

最初から
なにも
なかったように

すっきりと

2022/06/27 (Mon)

[338] ダークサイド
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

夢をみたんだね
とても、とても
長い夢を

大きな青虫が

気持ちが
悪くならないように
細かな説明は
省いておくよ

とにかく
蛹になった

とても、とても
長い夢の中
青虫は
いつかは蛹の殻を破り
蝶へと姿を変える
はずなのだから

もしも、もしも
生まれてからずっと
なにもかもが眩しくて
目を閉じても瞼をすかして
眩しい光にさいなまれた眼が
初めて
漆黒の闇につつまれて
とろけるような
深い眠りに
おちてゆけたとしたならば
それはきっと
やすらがだ

そうしたら
びっしょりと濡れた
汗だくのシャツが
どうでもいいように

しっかりと
目覚められる

2022/06/19 (Sun)

[336] かくかくしかじか
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

いつか僕が

いつか僕が
1000編の詩を書き終えて
窓辺で空を仰ぎ
その空から
この目
この心に
何か
何かが
挿し込んできて
くれるといい

それは
全く誰の為にでもなく
ただ、ただ
全く僕だけの為に
「冷たい」だとか
「自分の事しか考えていない」とか
そんな
気がついたら
通り過ぎていてしまうような
話しではなく

かくあるように
「自分を孤立させる者は、あらゆる
実際的な知恵に逆らって、突き進む」

2022/06/05 (Sun)

[335] 銭の錆
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

嫁は
天ぷら屋で
パートの仕事を
していて
一日の終わる頃に
抱き寄せようと
すると
「油臭いから」と嫌がる

その匂いを
働いた証を
臭いと
感じた事は
彼女から言われるまえから

誓ってない

2022/05/29 (Sun)

[334] スイーツ
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

あんまり
難しい顔をしながら
食べるから
久しぶりに
お腹が痛いくらい
笑ったよ

近頃は
変わったデザートもある
何が、どう、美味しいのか
新しいのはいいけど
美味しくないなら、ないで
それはもう
食べない方がいいよ

2022/05/28 (Sat)

[333] しんあい
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

半世紀以上
生きてみてすら
今日この日にみえる
夕焼けが
かわっているわけもなく

おもいだけが
たかなりようもなく
わなないている

崇高なことは
私には
手のとどかない
丁度、あの
燦然と輝く
夕焼けみたいなもの
だった

幼かった頃は
中が悪くて
喧嘩ばかりしていた
二人の息子が
肩を擦りよせ
スマホでゲームを
楽しんでいる

なんだ
こんな形に
うつりかわって
いたのか

過ぎさった
と言うより

手に入れてしまって
いたのか

2022/05/15 (Sun)

[332] 承認欲求
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

ひとでなしの
はじしらずは
きょうも
どうにも
どうも
なりはしない

ひとでなしの
おかまい
しらずは
はじをはたいて
みては
いくばく
いくとせ
いくよ

さくらがすき
あじさいがすき
ひまわりがすき
すすきもすき
だれもかれも
みんなすき

わたしが
きらいで
ないのなら

いい

2022/05/14 (Sat)

[331] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

発音の
外側のほうに
余裕の残る
イントネーションがある

曲芸飛行と言えば
丁度いいのかもしれない

根幹は
アトミックなパワーを
残しながら
縦横無尽で精密な神経が
誰しもに必要な酸素量を
探して、行き渡らせながら
爆発しそうな衝動を
柔らかくほどいて
花束のように渡していく

どこにでもいるような
モンシロチョウも
案外と捕まえらない
しなやかに
キャベツ畑の上を
ふらついている

羽毛ですら
落ちてはいたとはしても
見ている側の
手応えすら捨て置いて
なんとなく冴えない風にさえ
翻弄されようと
消えはしない

願わずとも余韻は
残るのかもしれない


2022/04/10 (Sun)
330件中 (41-50) [ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >> ... 33
- 詩人の部屋 -