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夢野咲道の部屋  〜 新着順表示 〜


[54] 桃の花をひと枝飾る
詩人:夢野咲道 [投票][編集]

今日は母の誕生日
生きていたら74歳になる


花が好きで、山菜取りが好きで
洒落た料理など作った事は無かったけど
母の料理は何か温かい味がした

運動会になると決まって作ってくれたのり巻き
もう味わえないお袋の味


気配り過ぎる人だった

いつも自分の事より
周りの事にばかり気を配ってた
自分が治る見込みの無い病の中にいてさえ
尚、1人で家にいる父の事や
離れている私の事ばかり心配していた


父は公務員だったが
母も私が物心ついた頃にはもう働いていた
農家の出面、肉屋のパート・・・

1人息子で愚かなバカ息子はお金に苦労はした事が無い

高校で下宿生活をしてた時も
大学で東京に行ってた時も
社会人になって1人暮らしを始めた時でさえ

母が亡くなって、一段落した時
父に頼まれて母名義の通帳を解約に行った

通帳には私が生まれた昭和30年代前半から毎月
2,000円、3,000円、2,000円と積み立てられていた
時折、大きく引き出されていたのは私への仕送りだったのか?
そして又、2,000円、3,000円と・・・涙が溢れた


子供が好きでよく甥っ子や姪っ子を可愛がっていた
そんな母に私は一度も孫を抱かせてやれなかった

母が入退院を繰り返していた時
父は甲斐甲斐しく母の世話をしていた
肩を揉んだり背中や腰をさすったり
それは父の領分だと私は妙な遠慮をしていた

亡くなる前の日
母は珍しく私に背中をさすって欲しいと言った
さすってあげると母は本当に嬉しそうな顔をした

「なんで、もっと早く!」
愚かなバカ息子に沢山の後悔だけが後から沸いてきた

翌年私は結婚をした
母の三回忌は偶然にも娘の誕生日になった
でも、娘が母の生まれ変わりなんて思ってはいない
多分、娘の事はいつも母が見守ってくれてるんだろう
そんな縁を結ぶ為に、その日を選んで生まれてきたのだと思う
だから、母の命日は哀しむ日ではなくて娘を祝う日になった
その代わりに私は3月1日に母を偲ぶ事にした。

こんな事はうちの奴には言えないから
何も特別な事などしないけど
心の中に桃の花の枝をひとつ、今年も飾る


記:2007.3.1

2008/03/02 (Sun)

[53] 全力逃避
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誰にだって
時には何もかも
投げ出してしまいたくなる時がある

誰だって
いつも全力投球じゃいられない

でも良いんだよ

休みたかったら
休めば良い

疲れたら
立ち止まったって良い

逃げたくなったら
逃げれば良い
全力逃避をしたって構わないんだよ

その代わり
いつかまた
頑張れると思ったら
その時は
そう
また全力投球をすれば良いのさ

2008/02/29 (Fri)

[52] 推論1
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縁とは
因縁によりその種を蒔かれ
運命により導かれし産物

因縁とは
前世、或いは古(いにしえ)よりの縁(えにし)

禍福の種は時を流れ、渡り
今に至るを人は運命と呼ぶ

出会いは偶然
別れは必然
それもひとつの真理

しかし
偶然も必然も
縁により誘い
縁により帰す

時に
思い込みや勘違いを
人は運命の悪戯と嘆くも
その定めの行く末は語らず

その行く末を宿命と名付けた

2008/02/29 (Fri)

[51] 心の中
詩人:夢野咲道 [投票][編集]

少しだけ
心の箍を外してみよう


心を縛るモノが大人としての理性なら
心を操るモノが社会人としての詭弁なら
心を曇らせるモノが家庭人としての惰性なら
心を揺らすモノが人としての欲望だとしても


身体はここにしかいれないにしても
心には自由な羽が生えている

それに気付く事に臆病になってはいないか?
正直になる事に臆病になってはいないか?


空想は非現実だと諦めてはいないか?
妄想は非日常だと戒めてはいないか?
幻想は非世界だと嘲笑ってはいないか?


こんなに心は自由なのに

2008/02/29 (Fri)

[50] 巡り会い
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朝に夕に
人は行き交い

巡り会うも
巡り会わぬも
ただ定めの命じるままに織り成す
縦と横の糸

春夏秋冬
繰り返す永遠の中で
芽吹くモノ
育むモノ
送るモノ

森羅万象の刹那

昨日 巡り会った人と
今日 別れても
明日 又、誰かと巡り会うだろう

命の懐に抱かれて
人は生き
人は行き
人は逝く

巡り会いは織り成す人の縁

2008/02/29 (Fri)

[49] 瞬き
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今、見えているこの星が
この瞬間にはもう存在をしていないかも知れないと言う事


見えているモノだけが
信じられる唯一の真実では無い


今、見ている色でさえ
一点の光も無い闇の中では存在しない


真実はいつもひとつでは無く
自分次第でいくつもの真実に出会えるだろう


瞬きはいつも一瞬の出来事では無く
目を閉じたその刹那に
始まるモノと終わるモノも有る


この瞬間
この瞬きを見逃すな!


大事なモノは全てそこに有る

2008/02/29 (Fri)

[48] フカヨミ
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ボクはいつもフカヨミのし過ぎなんだ

分かっている

それはボクの悪いクセ



いつかキミにも言われたね?

分かっていた

いや、ホントは分かっていなかったんだね



キミの言葉が少なくなったのも

キミが流したナミダの訳も

キミの笑顔が消えたのも

ボクが勝手に作ったマボロシだったんだ



キミのココロを解ろうとして

ボクは一生懸命にキミのココロを探していたんだ

そしてボクは

キミのココロの裏側さえも探してた

それが愛のアカシなんだと

ボクは自分で作ったマボロシを追いかけていた



何も気づかなかったよ

なのにボクは何も気づかなかったよ

キミのホントのキモチに

キミのホントのココロに



オモイアガリ

ボクはキミのココロを解ろうとして

ボクのココロをキミに押し付けていただけ



キミに愛されたくて

ヤサシイヒトと思われたくて

それだけだったのに

いつしかボクはオモイヤリさえも

ココロを突き刺す武器にしてしまったんだね



壊れたキミのココロのカケラが

ボクの中でチクチクと騒ぐたび

今もボクのココロは痛むんだ

2008/02/25 (Mon)

[47] 惑星の会話
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愛にはこれって言う形が無いよね?


形が無いって事は
壊れないって事なんだ
ホントはね


それでも壊れてしまうのは
自分で勝手に形を決めてしまうからなんだろう




気持ちって不確かなモノだよね?


不確かなモノに
理屈をつけて
僕らは安心をしようとしている


それでも不安になるのは
気持ちが変わりやすいのを知っているからなんだろう




瞬く星達の会話に
僕達は耳を傾けていた

本当の事は誰にも解らない

今煌いている星でさえ
今この時にはもう存在しないかも知れない

何が真実で何が偽りなのか
僕達は本当の事は知らない


ただ
今、君がここにいる事だけは
信じられるひとつの事なんだ

2008/02/25 (Mon)

[46] 秋の夜半に降る雨は
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秋の夜半に降る雨は
寂しさのスイッチを入れに来る

窓を伝う雨の滴に
後悔の数だけ
想い出が写る

寂しくて
切なくて

乾いた心に沁みては来るけど
もう涙も出やしない



秋の夜半に降る雨は
ぽっかり空いた隣に座る

窓打つ雨に押されて
想い出も流されていく
雨に歪んだガラスの向こう

哀しくて
切なくて

忘れた事さえ忘れてた事
想い出させて知らん顔



どうせなら
どうせなら

いっそ流してくれれば良い
何もかも 何もかも



秋の夜半に降る雨は
枯れた想いを濡らして過ぎる

2008/02/25 (Mon)

[45] 時には愛について考えてみる
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自分を愛する事は他人を愛する事だ

自分を愛せない者に
他人を愛せるはずも無く
他人を愛せない者に
愛は降り向かない

自分を愛すると言うと
すぐナルシストだと言う話になるが
ナルシストは自分だけを愛する人なのだ


自分に正直でいる事は
多分、他人に正直にいる事よりも難しい

考え過ぎるだけの人は
ただ臆病の種を蒔くだけで
収穫の喜びを知らずに過ごすだろう

他人を愛する事に正直な人は
第三者から見たら
多分、疎ましくさえ思えるかも知れない
だが、それを出来る人は案外少ないだろう


自分を愛すると言う事は
結局、他人を愛すると言う事なのだ

自分を大切に出来る人は
それ以上に他人を大切に出来るだろう
何故なら
大切にされる喜びを知っているのだから

愛の大切さを知っているのだろうから

2008/02/25 (Mon)
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