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浜崎 智幸の部屋  〜 投稿順表示 〜


[69] 【月が走る】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夜を走るなら
月に背を向けろ

けばだつ心に
月は優しすぎる

楔(くさび)を打ち込め 
胸の真ん中に

呼び捨てにできる
名前はもうない

澄みし水よ
光を受けて
翳る心に灯る
歌に変われよ

みな幸ある人でいるか

流れにまかれる影でないか

そこは寒いのか
温もれないか


誰も顧みぬ
僕の歌だから

誰も顧みぬ
君のために唄う

鏡よ砕けろ 
正義を示すなら

翼を得るとき
僕は駄目になる

澄みし水よ
光を受けて
かたち残すものの
挽歌になれよ

失うものはせめて少なく

見落とすものはせめて小さく

そこは遠いのか
触れあえないか

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2023/08/17 (Thu)

[70] 【鋼玉】コランダム
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


少女は
母の持ち物の

指輪をそっと
はめてみる

誰もが 
そんな悪戯を通って生きてきたんだね

当たり前の現実が
とても眩しいこの夏──


扉を放ち
鏡台の
向こうに気づく
銀の針

心は
人と連絡し
瞳は
軽く閉ざされる

実像しか愛せない
雑念は滅したから──

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2023/08/21 (Mon)

[71] 【琥珀】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


記憶を
地図の上で確かめ
印を打つ謎解き

あなたはどこなのか
(わからない)

地底に潜む琥珀の嘆き

声にならぬ愛

黄金を掘る人の
砂のような涙を
吸い上げ色を獲る

琥珀たち


再び
鑿(のみ)をふるう旅人
疲れ果てる神々
夢みてる

あちこち掘るけれど
(出てこない)

息を詰まらせ
のけぞる人の
最後にあげる声

殺され埋められた
命の集まりが
固まり色を獲る

琥珀たち

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2023/08/21 (Mon)

[72] 【オレンジ・アワー】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


午後の花園には透明な愛が育つ

けれども熟さないうちに
夕暮れの風がすり抜ける

それはオレンジの時間
僕によく似合う光

勇気と力を欲しがれ
拳を握れ さりげなく

思い出は音楽にまかせて
もう一度翼を試そう

思い出せ 真実の痛みに寄り添う微笑を


手紙ひとつ書けず
遅咲きの花も終わる

そうして暦が替わると
短日植物はじけだす

それはオレンジの世代
僕の土壇場の祈り

自分に自分を投げ出せ
のたうち回れ 笑いつつ

伝説は役に立たないから
もう二度と言い訳はするな

見苦しい愛もあることだけ
わかっていればいい

それはオレンジの気候
僕の初歩的な希望

秘密も本音も疑え
暗中模索 もがくだけ

ホラ吹きがはびこる時代に
翻訳の聖書はいらない

沈黙が罪でないことまで
宇宙に誇りたい

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2023/08/31 (Thu)

[73] 【東北】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]




夕暮れまでに帰れよと
我が子に叫ぶ母がいた

故里の冬
 
帰ろうか
 帰ろうよ
  帰ろうか
   今のうち  
東北へ

地面の匂い
時となく
雪をちりばめ
混じりあい
指を凍らす

雪が降る
 雪が降り
  昔いた
   人を呼ぶ  
東北へ

心に深く
突き刺さり
敗れた者を
認めない
故里の冬

心を遠く
突き離し
敗れた者を
許さない
故里の冬

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2023/10/04 (Wed)

[74] 【緑ヶ丘】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


緑ヶ丘に 優しい風が

わたし誘うように吹き寄せてくるわ

もしも あのとき素直だったら

光さす処へ行けたかもしれない・・・・・・

ためらう言葉ではなにも伝えられないと思うの

だから

お・ね・が・い・よ

このまま

す・て・な・い・で

せっかく言えそうになったところよ

「アナタガ好キ」

で・も・だ・め・ね

青空

み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女(ひと)を思い出すの


緑ヶ丘に 月影さえて

眠り破るように囁いてくるわ

窓の外では 模様のない蛾が

光に魅せられて躍り続けているわ

逃げ腰の恋ではなにも創りだせないと思うの

だから

な・り・ゆ・き・で

あしたに

さ・せ・な・い・で

せっかく言えそうになったところよ

「ヤッパリ好キ」

で・も・だ・め・ね

満月

み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女(ひと)を思い出すの

─────
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2023/10/04 (Wed)

[75] 【緑に降る光】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



片思いはいつでも
風が運んだ花粉

指にからむためらい
 
あなたのせいで──

出会ってしまったから
こんな思いを抱いて
一人で森にいるよ

あなたのせいで──

 緑に降る光にまぶしそうに笑った

 あの無邪気な笑顔が
今も忘れられない

だけど光あふれて みどりは目に痛いよ

僕の小さな影は消されてしまう


白いショートパンツで
あなたはシャトルを追う

低くそして鋭く
サーブを返す

僕は歌を作って
何かを確かめていた
時々襲う挫折
楽しんでいた

 緑に透ける髪をバレッタでとめていた

 それは僕の心もつなぎとめたと思う

だけど光うすれて 夢は冬に移るよ

たぶん僕のせいだよ

僕のせいだよ

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2023/10/05 (Thu)

[76] 【こんなに愛していた】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夕暮れになると道で足を止めて

祈りを捧げるように頭(こうべ)垂れた

やすらいのなかはすべて無色だった

謙虚な人の溜め息あつめていた

いつでも「かたち」が心を乱すらしい

語られぬ悲しみが影のように寄り添う

瞼が重いだろう
その重さに逆らうな

しゃがんでしまえばいい
この場所で膝を抱いて

さあ




薄明(はくめい)の町を一人ゆるく歩き

優しい人の残り香そっとなぞる

涙を流せるならば終わるだろう

こんなに愛していたと言えるだろう

いつでも「ながれ」が心を変えるらしい

減らせない苦しみに僕は慣れていくのか

目を閉じてもいいのなら
正直な子供になり

寝そべってしまいたい
この場所で泣きじゃって

そう

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2023/10/19 (Thu)

[77] 【チャルダッシュ5】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


僕は君の堕落を願う
君の夢を根絶やしにする

君は僕に呪文をかける
だけどそれじゃ僕は死なない

泣きながら刺し殺し君を黙らす
朝の街に死体を捨てる

その瞬間に君は目を開け
低い声で僕の名を呼ぶ


僕は安い洋酒で眠る
君の夢を見たくないから

君は僕に毒素を混ぜる
だけどそれは僕に効かない

ひと筋の血が流れ
悪性の愛の花が開く胸の谷間に

最後の夢は君の未来を
裁くために成就するのだ
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2023/11/12 (Sun)

[78] 【チャルダッシュ2】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


もう夢をすべて見尽くしたと思うなら

そっと私の肩を抱いてほしい

それであなたが白痴のように喜ぶならば

もう私は土に還ってしまいたい

走れ 走れ
二度と光がささない道を

走れ 走れ
冷たい水に肌を切らせて


もう誰も信じてくれないと思うなら

深く激しく私を責め抜いてほしい

それであなたがもう一度立ち上がれるならば

もう私は泥にまみれて眠りたい

走れ 走れ
素足と夢が触れあえるまで

走れ 走れ
小石の雨に肌をさらして

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2023/11/30 (Thu)
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