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高級スプーンの部屋  〜 投稿順表示 〜


[645] コドモノカコ
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私の身体から

ぷくりと湧いて

するりと抜けて

まっすぐに駆けていく

少年

後ろ姿は半透明

目で追うだけで

やっとの私

動けない

それからまた

忘れた頃にやってくる


あと数時間で

今年も終わる

感動も不幸もごく僅か

起伏に乏しい一年でした

先の見える

歩きやすい未知

なのに

太陽がまぶしくて

前を向けずに

足踏み 足踏み

でも

言い訳じゃないから と

人に話す時

やけに必死だったような


おととい食べた夕飯も

思い出せない頭をはたき

落ちるのはホコリか

ゆるんだネジか

大掃除の途中辺りで

私の内側

灯る過去

めぐりめぐるぐる

振り返る


それは灯籠

影になった私は

せかせかと

あっちへ こっちへ

せわしない

はたから見れば

よくわかる

残るものなど

なくて当然




その他すべてを振り払い

過ぎていく

その

後ろ姿を

無心で追いかけていれば

満足したか

いいや

追いつき

捕まえられたなら

きっと

でもやっぱり

騙されたと

嘆くのがオチだろう


緑の少ない公園

派手な色の

ジャングルジム

そらを目指して登り

掴んだものは

上級生の片足で

払われ 蹴られ

地面に激突

そこから先は

覚えていない


少年は笑っていたか

走りながら

その先も

静かに波打つ虚しさや

不意に襲う悲しみに

つらい過去にも

挫けず 狂わず

まっすぐに駆けていく

少年は笑っていたか

一生を通して

幸せは

ほんの一握り

手に入るとも限らない

それでも


暖かいソバをすすり

一息

月見がおいしい

隣はどこかに

出掛けたんだろう

いつもの騒音

聞こえてこない

そんな中

私はひとり

部屋の隅

長針が

そらを差すのを

待っていた


MINNA1231

2006/12/31 (Sun)

[646] コドモノミライ
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25にもなって未だ

青い夢物語ばかり話す

兄のようにはならないと

イラナイモノを処分する

気付けば見知らぬ少年が

けれども

どこかで見たような

半透明の少年が

こちらを向いて

立っている


それは暗号

いつでも

逃げられるように

それは理由

それは願い

それは夢

言い換えただけの

幼稚な屁理屈


違う

私のじゃないの

兄の所有物(もの)

馬鹿げた兄の

必要のない

だけれど

捨てられず

それが山となり

越えられない壁となる


これから歩む未知の先

役立つモノを見極めろ

邪魔する望みは

捨ててしまえ

残ったモノを

頭に詰め

計画的に動けるように

ところで

来年の抱負って


隅にやられた自分自身

すくいあげ

思い出す

あなたと歩く平穏を

それだけでいい

起伏なんて最初から




待つ人などいない

大切なものは

寝息を立てて

スヤスヤと

かわいい顔して

眠ってる

なのに


振り返るな

誰が呼ぶ

私を必要としてくれる

それは

暗号じゃない

理由じゃない

願いじゃない

夢じゃない

わざわざ解読しなくても

望まなくても

やすやすと

私の隣で

スヤスヤと

手に入れたのに

眠っているのに

もう

振り返るな


少年と判断したのは

半透明のシルエットから

だってソレには

顔がない

読み取れない表情で

私を見ている

私が見ている


あと少しで

今年も終わる

掃除も終わり

コンビニで買った

ソバをすする

天ぷらが衣ばかりで

おいしくない

いつまでこんな生活を

誰に望まれたわけでなく

進んで自ら進む未知

忘れられない

捨てられない

何度も取り出しては

そっと胸の頂に戻す

それは

あなたじゃない

私でもない

それは


MINNA1231

2007/01/01 (Mon)

[647] コドモノゲンザイ
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少年と私


相棒からは程遠く

共犯に近い

不倫かな


ポップにならない長話

節まで伝わるか


月見で天ぷら

おいしくて

おいしくない

すするソバには

変わらない


別になくても

ダメなのか


MINNA1231

2007/01/01 (Mon)

[648] 乾いた歯軋り
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首の上にTVを積んで

草と空だけの丘へ

座ってさ

楽な姿勢で

遠くを眺めてた


絵に描いたような私達

絵にした時点で

現実に戻る

なんか違うよなぁ



破ったら余計にね


18歳は

すぐに30歳に

15歳は

もうすぐ20歳に

40歳は

気付けば60歳に


隠れてんなよ

いい加減にしろ

もう何度も日が暮れた

口笛ひとつ

吹いてみろ

探しても呼んでも

映らない

チャンネルカチャカチャ

いつまでも

それでも

丘から出られない


2007/01/12 (Fri)

[649] みにくいあの子を笑った子
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笑うしか

汚い声で

それでもな

優雅じゃないが

負けずに進め



AIKU070113

2007/01/12 (Fri)

[650] 非常停止ボタン
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非常停止ボタン

隣の部屋にはないけれど

階段を下まで降りて

屈めばほら 見えた


非常停止ボタン

押してはいけない

最後のボタン

押さなきゃいけない

時もある


非常停止ボタン

動き始めたのは

あなたなのか

気付けば距離も開き

離れ離れ


非常停止ボタン

会い足りないのに

もう会えないの

2007/01/15 (Mon)

[651] 僕は人間
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月に着いても
雲にはなれない
ライオンにも
大根にもなれない
僕は人間

うまれる途中
産道にて
可能性を
たくさん捨てた
母にも伝わる苦しみに
勇気を強く握りしめ

こたつで見る夢の中
あらわれる比喩
触れようとしたら
朝が横槍を
それでも僕は
幸せでした
太ももが少し
かゆいくらいで

だけどいつしか
未来を迎え
出したお茶は
紫色に
座敷は鉄に
みるみる変化
エジソン
ヒトラー
アインシュタインが
肩を組んで笑ってる
出口はうしろ
コースを外れ
どんどん進化
どこまでも

月に行かずに
雲にもなれる
ライオンにも
大根にもなれる
僕は人間か

比喩が比喩じゃ
なくなる日
奪った可能性を
モノにして
人が人じゃ
なくなる日
恐怖に襲われ
自分さえ
捨てそうになった時

うまれる途中
産道にて
可能性を
たくさん捨てた
星にも伝わる苦しみに
勇気を強く握りしめ

僕は人間
大きな声で泣いたんだ

2007/01/18 (Thu)

[652] 気付いてもダメな人
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「髪型変えたの」

気付かない

「眼鏡を替えたの」

気付かない

「この服買ったの」

気付かない

違うマニキュア

違うカバン

違う香水

違うピアス

何をやっても気付かない

それでもアナタ

傷付かない?


別にいいけど
別にいいんだけど
少しくらい
普通はさぁ
ねぇ?
別にいいけど
そんな強がりも
カレはまったく
気付かない


冷たい視線に
かろうじて
気付けたカレは
反省し
カノジョの変化に
気を配り
言いました


「昨日と雰囲気違うね」

言ってみたけど
分からない

「昨日と雰囲気違うね」

本当にそうか
分からない

「昨日と雰囲気違うね」

だんだん自信が
なくなって

「昨日と雰囲気違うね」

結局
心の中だけで
実際
何も言ってません


ダメだ!ダメだ!
もう一回


髪型変えたの?

「先週ね」

少しやせた?

「変わってないし」

今日はカワイイね

「今日、は?」

二重に整形?

「アイプチだから!」

ドブネズミみたいに美し…

「はい殺す」


喜ばせようと言ったのに
笑顔は消えて
角が生え
鬼の形相
ヤバいぞこれは
何か言わなきゃ


怒っていてもキレ…

「別れましょ」


やっぱり
ダメでした

2007/01/18 (Thu)

[653] 真逆の詩
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どこかに彼の考えと

真逆の答があると云う

己が道をひた走る彼が

理解したのは死の際で


走って 走って

走って 走って

世界中を駆け抜け

巡った

自らが歩む道の正しさを

皆に証明する為に


叫んだ数だけ

人々は賛同し

味方についた

叫んだ数、以上に

人々は反対し

敵となった


どうして俺に

従わない奴がいる?

何一つ

間違ってなどいないのに


彼と違う意見を持つ者は

次々と殺された

彼と同じ意見を持つ者は

さらにその倍、殺された

人の命が奪われる度

彼の行く手は阻まれる


そして暗殺

一瞬のうち

彼の脳裏に

浮かんだものは

一遍の短い詩で


その後の歴史で

語られなかった

真逆の真実が





2007/01/19 (Fri)

[654] 千悔
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二百打っても
悔いは八百

五百打っても
まだ半分

一つ一つに力を注ぎ
人生めがけて振り下ろす

九百打っても
死にきれない

残さず千の杭を打てるか

2007/01/24 (Wed)
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