[6] 私 |
見付からない答えとか見付からない人とか見付からない物とか見付からない気持。
見付からないものだらけで私のまわりにはもやがかかってるみたいだ。
実際にくたくたに疲れてバイトに向かう途中に3メートル先の看板の文字が見えなかった。ふとまわりを見ると背広を着たおじさんたちの顔もみんなぼやけてた。
まばたきが癖である。
そのまばたきをずっとぱちぱちしながらやっと電車にのった。外は大雨だった。つらかった。傘がなくて駅から店までずぶれになって歩いた。どうでもいいと思ってしまいそうなほど、なんだかぐったりしていたけど、歩きながら今日こそマネージャーに言い返してやるんだと意気込んでいた。現実はまだ私には絶対的なものだ。