詩人:凪都 | [投票][編集] |
結局
この深く、ほの暗い、井戸のような
底に そこには辿り着けなかった独り。
月明かりの梯子に触れて
発光するよう拡がる熱は
気のせい、な、はずなのに
空洞に倒れて転がった石コロの
なんて、味気無い音を拾ったら
何故か視界は滲んでふやけそうだった。
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喉を詰まらせ
鳴咽を噛み殺し
小さな身体を奮い立たせ
まぶたを押し上げるようにして
目覚めたばかりの彼女へ
胸いっぱい
生まれ落ちる
愛しさを言葉に閉じ込め
吐き 出した音は、
すっ 、と
雪のように溶け消えた
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迷彩色が乱反射した様に
溶け込み混ざり判別不明。
アスファルトはグレー
見上げた空は灰色。
寒空を足早に行き交う。
視界を過ぎてくあのコートは
今年流行りの黒色コート
似たり寄ったりの背丈
誰がどこのどなたでしょう?
無くしたモノを探して
静かに視線はセメントを這う。
人の波に流され行方不明。
じんわり滲む右手をぎゅっと
ひんやり染みる左手でぎゅっと
同じ体温になっても
握りかえし続けます。
わかるトコロに
違いがないなら
判らないトコロは
同じであって欲しい。
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全て口に放り込んで
飲み混んで仕舞うように。
あれは時に凶器 狂暴
忘れたらおしまい。
日陰から見つめた陽射しは
暴き 晒すように
この傷を包み込んで仕舞う
時に凶器 狂暴
忘れたらおしまい。
そこにある
ここにある
顔を上げて
目を潰してまで見れない
それでも
いくら
暗がりで呼吸を繰り返しても
私は暗闇で生きられない
あれは凶器で
あれは狂暴な凶器で
あれは強烈な狂暴な凶器で
両手で隠したところで
口に放り込むように
飲み混まれて交ざって仕舞う。
だから忘れたらおしまい。
ここにある事
おしまいだから忘れない
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絡まり混線それが現状
ここは視線渦巻く明日行き交差点
ポジティブを装う逃避行者。
視線に立ち止まると
知らないあの子がわらいかける
私は夕闇黄昏はぐらかし
視力が悪いと言い訳並べ
そんな姿勢に
はにかみ笑いかける
知らないあの子の顔が視線が
隣り合わせの距離になり俯いた。
わらってた笑ってた
嗤ってみているみられている。
あの子の死線から目をそらしたくて
黙って目前の明日へ疾走する
怖がりの私は失速を恐れ
頭上から忍び込む月明かりは
浮かない顔の芯を真を引き当てる。
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風に梳かれた雲の隙間
深く仰いで見た濃紺は
突き立て塗り潰した月のない空。
昨日はもう枯れて
物言わなくなった
君を一言 ころり寝転がせても
私は疲れた目で困り顔
薄く乾いていく色彩は
もぅ白に喰われ 鮮やかに落ちていく。
塗り潰し損ねた隙間はキラリ
同じ色に溶け込み逃げだして
今はどこにも見当たらないのに
君は唯一を持って多くは語らない。
君色を帯びていた
延びて遠くへ消える空へ向けて
結局その口は
塗り潰した三日月のそれだから。
私は疲れた顔で 困った目をして
口数の減った友人に頭を抱え
今日も君の手を引いて
薄明かりの朝を行ってきます。
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吐き捨てたありがとう
投げ捨てたごめんなさい
急いで仕舞った独り言
どこにもなくて
うそホント引っくるめ
いつでも誰かを揺らす
言葉の羅列は一重に
いち じゅう ひゃく
ひらがなかたかなえいすうじ
のどからポロリ 零した
せん まん おく
ちょうになって
ちょうになって
今日も空をとんでいる
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綺麗と言われる上っ面を
取って剥いで貼り付けて
お互い軽く会釈したら
0円より価値がないと
気付いたら
薄く口だけ歪んでた
思想は遥か遠く理想を撫でつけて
日を追い儚く揺れるこの薄い影は
行き違い入れ違い似たカタチの中
ただ静かに泳いでた
この足があるトコロ
その手は地に触れる
綺麗と言われる上っ面を
両手でどこかに隠したら
コンクリートの境界線
昨日と今日と明日のあいだ
嘘つきになるワケじゃないのに
知らないトコに知らない空白がある
溢れた液体は蒸発して消える
引き出して散々と黒い影
一生一緒に抱えていくの
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揺れる、ゆりかごが揺れる
はじっこの灰色の中の中で
この日
左目を閉じた小さな像は
やさしいやさしい子像で
そしてあの日
左目を閉じてしまった
子像は像になっていて
あの太陽と月と星の間に
遥か遠く創造を馳せては
やはり左目を閉じて
けれど命があるから
せめて首を傾げる時は
右に重さを預けようと
そう思った