詩人:しゅんすけ | [投票][編集] |
コーヒーが嫌いだった。
口の中に広がる違和感と、それが喉を通り抜けるのが。
いつ頃からだろう?そんな黒さを楽しむようになったのは。
整然とした薄暗い部屋の大きなテーブルの真ん中、カップ越しの写真へと、何気ない視線を投げかける。
感慨が湧き出す直前で視線をカップに移し、テレビの音量を二つ上げた。
今動いた時計の針が、丁度0時をさしたのを見て、目の前に転がる黒い塊に口をつけた。
苦笑いを、隠す為だけに。
黒ならば、塗り潰せるはずだから。
きっと、明日はいい一日さ。そうつぶやいて、小さく眼を綴じた。
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創り始めた言の葉を
投げ棄ててしまう時が来る
大きな力に潰されて
諦めてしまうこともある
それでも明日はやって来る
それでも時間はとまらない
限りある
命の意味を探すには
あまりに短い時だから
大切なものを見つけ出せ
誰にも負けないものをもて
そしてこれから
前に進もう
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青い空は鋭利な寒気を降り下ろし
凍てつく大地は生命の躍動を嘲笑う
悲しいくらいに美しい風が
ただそこに立つだけの野山を脅す
立ち上がれ
歩き出せ
熱くなれ
熱を持たぬ者など瞬く間に凍りつく世界だ
熱くなれ
絶界の空間をさえも支配できない矮小な存在よ
熱くなれ
突き上げた拳で冷徹な空を打ち抜いてやれ
熱くなれ
踏み締める両足でしっかりと大地にしがみつけ
熱くなれ
熱くなれ
ここで生きるのだと
生きているのだと
ただそれだけでいい
熱くなれ
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出来ないって始めて言った
口にする直前まで
固く封印された言葉
封印したのは
出来ない理由が解らないから
逃げる君を追いかける
ソレが出来ない
君は何度も聞いてくる
あたしがどっか行ってもいいの?
俺の答えはいつも
君が選んだのなら…
この繰り返しが十年
始めて泣きながら納得できないと
その答えを突き返した君に
叩きつけるように投げ返した「出来ない」
まだ怒った瞳と
目の端だけに嬉しさを隠せない君に
何だかほっとした
弱さを見せる
始めて向き合える
安っぽい歌詞みたいだけど
なんだかすべて
仕組まれたみたいで
これからも二人でいようと思えた
これからもずっと二人でいられるような気がした
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優しさ
偽善
強さ
虚勢
願わくば
強きの糧とならず
弱きの翼へと
願わくば
ささやかであろうとも
永久に
願わくば
この矮小な猜疑心をも
救ってはくれないだろうか
この偽らざる悦びの涙を
隠さなくてもよいのだと
ただ肩を叩いてはくれないだろうか
欺瞞
賛美
傲慢
純粋
価値あるものは
こうして紡がれるのであろう