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ジョーブの部屋


[262] 危篤(きとく)記憶。
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ドックン、ドックン、ドックン。


幻想的な草原にいたんだ。


辺りは緑の大地で眩しい光りのグリーンが揺れていて、

そこに立つ僕。

瞳を細目させたのがその大地、グリーン。



そこは、僕にはなんだか白ぽっく眩(まぶ)しく映(うつ)るが、優しい。


その場所の視覚からは、心は何かを拾(ひろ)い、静かになった。



遊牧民が通るよほら知らない顔だ。



僕を避けようとも会話をしようともしないで、



ただ足元を見ては前を向き歩く遊牧民が、逞(たくま)しい。




誰かの声がここの遊牧民の事を言っている。

「気付(きづ)いた」

「誰、」声だけが聞こえたんだ。



それは男の子、女の人。



歩き去る後ろ姿の遊牧民は、地平線に見える太陽に向かい歩いて行く、ずっと...。



社会の中で疲れた心と体は、空回りをしない様な場所だった。




幼き日の自分は、

「ねぇ、いつ来たか覚えている?」と後ろに男の子。
裾(すそ)を引っ張るんだ。




「君があそこで夢をみていたから、僕が未来が見えていたんだよ」

立ち止まった僕と男の子がいた。





風が吹き、頬(ほほ)を寂しくさせた。

男の子はしばらくすると、両手を目に当て泣いていた。




「あっそっか」


思い出したよあの日の僕を、僕が言ったんだよね。

「君は僕でしょ」





男の子が居る。そして僕がいて、未来はあったんだ。

しばらくして目を開けた、僕はベットの上にいたんだ。



2012/09/10 (Mon)

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