詩人:樂水楼 | [投票][編集] |
氷輪の輝く季節
天空より舞い散る不香の華は、森の木々を白銀に彩り静寂と幻想の世界へと誘い往く・・・
その静寂の森の奧に有る小さな喫茶店・・・
夕の帳の降りる頃
喫茶店のドアの前にランタンの明かりが灯る
赤々と燃ゆる暖炉に掛けられた茸のスープは、芳しい薫りを放ち
カウンターに有るサイフォンは、優しい音を立て店内に彩りを加える・・・
暖炉の傍、熊のマスターは揺り椅子に持たれ静かにパイプに火を付ける・・・
ふと窓辺に目を向けると氷輪の光は、森を蒼く照らし
満天の星空には、冬の精霊の奏でる荘厳な聖詩謌の旋律が響き渡る・・・
緩やかな刻の流れ
その流れに委ねながら
今宵も喫茶店の夜は、
静かに更けて往く・・・