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千波 一也の部屋


[1101] 落とし穴
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]


きみの

笑顔のために

ぼくはせっせと

穴を掘る

いくつもいくつも

穴を掘る

そして

うっかり

自分で落ちた

試しに

笑ってみると

自分の声が妙に近くて

さびしくなった

ひょい、と

穴から顔を出すと

きみは笑った

あかるく

笑った


そして、きみは

落ちた

ぼくに

駆け寄って

ぼくに手を貸そうと

駆け寄って

するり、と

落ちた


いくつも掘った

ひとつに

落ちた


ぼくは

笑うべきかどうか

とまどっている



2011/10/16 (Sun)

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