詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
杞憂に耐えかねた
音、がする
きっと 最も低いところから
きっと 最も遠いところから
そっと 最も高いところへと
そっと 最も近いところへと
のぼりつめている途中のそれ、は
息苦しさの極みだから
誰も手を貸せない
貸してはならない
己の制御がきかなくなって
もう、流れ下るしか無くなったとき
哀しい太陽が非を脱ぎ捨てる
所構わず脱ぎ捨てる
もうすぐ 音が止むよ
もうすぐ ほんとが始まるよ
もうすぐ 音が止むよ
もうすぐ 仮面が崩れるよ
天秤にかけられて
時、がゆく
大切なものも
そうでなかったものも
結局は重たいものに他ならないのに
音、は細部まで
しっかり きっちり骨がある
骨があるから
よくよく擦れて
杞憂が幾重も満ちてゆく