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千波 一也の部屋


[590] 優しきあなたへ罪状を
詩人:千波 一也 [投票][編集]


悪気などないのだから

だから尚更

優しいあなたは嘘つきになる


誰をも騙せなくて

自分を騙すことではじめて嘘つきになる



それがたとえ取り繕いの仮面であっても

優しいあなたは

そういうふうに嘘つきになる



けれどもやはり安手の仮面ゆえ

途ゆく人は

あなたの背後を確かめる


優しいあなたは自分しか騙せないものだから

途ゆく人に嘘を手渡す

優しく手渡す



優しきあなたよ

振り返る途に

いくつの涙が見えるだろうか

振り返る途に

いくつの掌が見えるだろうか



判決、

その優しき光の源を

絶やさぬように抱くこと



判決、

すべての温かさの懐に

優しき寝息を立てること



2006/09/09 (Sat)

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