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千波 一也の部屋


[622] 氷が笑えば水は俯く
詩人:千波 一也 [投票][編集]


窓越しのアルデバラン

暖炉が背中でうたうなら

ベテルギウスは指輪にかわる

ポタージュの香り満ちる星座紀行は

甘くも、はかない



やがて旅人は

アンドロメダへの郷愁にかられてゆくだろう

雪原は手招きをするだろう



吐く息の白さは

束の間だけ美しい

水のいのちが凍れるさまだ、と

浅はかさを知るのは数分の後



ダイアモンドダストの煌めきは天使の誘い

有無を言わさず連れ去ろうとする

天使の誘い

砂時計をこころに留めておかなければ

水のいのちは

砕け散る

それはそれは鮮やかに

砕け散る



毛糸の暖かさに包まれながら冷めてゆく夢を

一角獣座は

鋭く見つめることだろう




氷が笑えば水は俯く


手の温もりは

誰にも届かず消えてゆく



氷が笑えば水は俯く

北極星はいつも

旅人のために明るいのだが




2006/09/09 (Sat)

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