詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
まあるい卵にうさぎの眠り
たゆたう袖から
虎のまなざし
いつかは還る最果ての灯へ
のぼる姿を
手から
手に
浮かべた舟は遠ざけて
くれない川面に
こもりうた
幾度と寄せてもうしろ髪
無垢なるくすりはあめの糸
ときの刻みはささやかな水
野に咲く憂いは
うらがわの円
わかれみち
雪月花
ひらりと舞わせば無人の島ぞ
匂いをたどりて
扇のかさなり
おもいでの背は降り積もる、坂
うすくれないに射抜かれる影
みどりの波から繰りかえす羽
まばゆい黒をさすらいながら
深紅を迎えるあかつきのまど
満ちゆく風は洞穴を縫い
けがれた着物を
とおされて
去る
ひかりの傾斜はなおも険しく
おだやかな陽にまもられる庭
残されたものこそ
ぬくもりを云う
さよならと
笑み