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大示の部屋  〜 投稿順表示 〜


[231] 
詩人:大示 [投票][編集]


緩やかに舞う風

あの日と同じ匂いがする
穏やかな朝

微かな記憶の中

遠ざかる大切な人を
見送っていたはず


微笑み、手を振ってくれた

あの人は未だ帰ってこない

今、僕は旅立つよ
あなたを捜しに

世界の果てで、きっと会える

そんな予感が身体中を駆け巡る



予感が期待になったとき
僕は、あなたより
強くなっている

そう信じて、僕は旅を続けるよ

2009/05/08 (Fri)

[232] 白鳩、豆鉄砲
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夢を紡いでいるような
不定形の世界の中で

現実を告げるのは
おかしな時間に鳴り響くハト時計

小窓からこちらを
チラチラうかがう白いハトを
出てきた瞬間に捕まえる

豆鉄砲を喰らったようなその顔に
現を見た気がして少し笑えたが

私が思い切り引っ張ってしまった
白いハトは二度と小窓には入れず

この世界から逃げられないのだ

あまりにも鳴くので
気が向いたら直してやろう
そう思ったのも、ほんの気紛れだ


2009/05/08 (Fri)

[233] 本当に、空っぽか?
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空っぽの僕

いつもは何も考えず

必要な時に薄い感情を出してみる

そんなことをしていると
僕は随分と性能の悪いロボットなのでは・・・なんて
埒のあかないことを考える

あぁ、でも僕は、まだ
機械などには敗けていない

どうしたわけか
涙だけは僕の許し無しに

流れるのだから



『まだ、空っぽじゃあ、無い』

誰かに、そう認められた気がして

僕は、静かな感情のまま
泣いたのだった



2009/05/08 (Fri)

[234] 拒絶のドア、解放の鍵
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気がつくと、僕はドアの前にいた


手持ちの粗末な造りの鍵では
開かないようだった

僕は途方にくれドアを蹴飛ばした


『やかましい』


向こうから開けてくれたのは

お節介な友人と家族達だった


僕の鍵は、僕と同じで

まだまだ未熟でひねくれていて
ぽっきり折れそうだけど

生きているなら

時間があるなら、いつか最高の
鍵が出来上がるだろう


だから、願わずにはいられない

ささやかな平穏が続きますように

2009/05/08 (Fri)

[235] 魔妖し(マヤカシ)の感情
詩人:大示 [投票][編集]


この世の終末が来る

まるで『夜』という暗闇に
頭を支配された様な突拍子の無い
この考えは

私ではなく長年、傷を負い続けた思考が産み出したものだ


灰色の細胞達が、私を『恐怖』に
引きずり込もうとしている

繰り返し、繰り返し、その都度
最高の恐怖へと導こうとする


その都度、私は抗う

暗い感情が存在している

認めるが、支配はされない

正と負を持った、不完全な生き物

これこそが私だ、と


2009/05/09 (Sat)

[236] リアルとフェイク
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一枚の写真の中
笑っている僕がいる

この時の笑顔が偽物だったのか
本物だったのか

そんなことは
今となっては、わからないけれど

『本物だったら、いいな』と

僕自身が
そう呟けるようになったから

ほんの少しだけ
マシになった気がしたよ


その時の一瞬の感覚の記憶なんて
あやふやで

自分の都合のいいように黒く塗り替えてしまっているなら
もう一度、周りをよく見て
白紙に戻すことだってできる


それは僕にしかできない
大切な仕事だ


2009/05/09 (Sat)

[237] 虚ろな心
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動かない心に、忍び込む暗闇

苦痛すら理解することかなわず
私は決められた運命を歩く

誘われるまま、道なき道を進む度

周りの声が、景色が幻に

傍にいた人達さえ見知らぬ人に
なっていく


このまま、私は壊れてゆくの

普通なら、直視できないほどの
惨劇を、何処か遠くで眺めながら


今までの全てが悪い夢ならば
どうか、お願い

私の目を、さまさせて



今までの全てが本当ならば

正しい運命よ

どうか、私を裁いてください


2009/05/10 (Sun)

[238] 比べる
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価値観も、何もかもバラバラの
この空間で

自分は正しいと言えるだろうか

人との関わりを断ち切ったままで

自分だけが苦しいと
言えるだろうか


比較することが難しく
褒められたものじゃないけれど


今、僕は、どの場所にいるのか

しっかり知っておきたいんだ


2009/05/10 (Sun)

[239] 二人
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僕の中にある苦しみは
あなたが何を言おうとも
僕にしか、わからないもの

あなたの悲しみは
僕が何を言おうとも
あなたにしか、わからないもの


『いつ消えるのだろう』

『いつ乗り越えられるのだろう』

『いつ?』

『いつか』


『いつか』なんて日は本当に
あるのか、わからない


それでも一緒に行こう

そう言って振り向いたその顔には涙のあとがあるけれど

あなたは笑っていた


完璧に生きられる人なんていない

格好悪くても
歩けるうちは、歩いてみるよ

最後に出迎えてくれる人の
優しい眼差しを思い浮かべながら

2009/05/17 (Sun)

[240] 一秒
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あの日、笑ったあの人の
きれいな横顔、心の中に

あの時、泣いたあの人の
静かな震動、手のひらに

いつも怒っているような
厳しい顔は、瞳の中に



たとえ、あなたがいなくなっても
私は、たぶん大丈夫


あなたも、大丈夫かな

最後の時まで、あなたのままで
いてくれますように


勝手な願いは秒針の音に紛れて

姿見せない明日へ


2009/05/19 (Tue)
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