詩人:大示 | [投票][編集] |
私は過去に一輪の花を見た
人工的なそれは私によく似ていた
砂漠に咲く花デザートローズ
形は薔薇に似ているけれど
花では無い
私も誰かに同じように
言われているのかも知れない
人の形をしているけれど
人では無い、と
デザートローズに
香りがないように
私には心が無いのかもしれない
私は本当に私?
疑問が付きまとうけれど
この存在を喜んでくれる人が
一人でもいるのなら
私が何者だってかまわない
あなただって
きっとそう思うはず
砂漠の花
ねぇ、私もあなたもあまりに脆い
何があれば強くなれるのだろう
いつかこの虚ろな心が満たされる
その日が来るまで
願い叶える石・デザートローズよ
私と共にいてください
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いつの頃だろうか
みんなに平等に訪れるものは
この世を去る時が来るという
事実だけだ、と知ったのは
いつの頃からだろうか
その事実が重すぎて
周りに在るものがガラクタと
感じるようになってしまったのは
いつか、いつか、
必ずその日が来るのなら
大切なものは、ほんの少しでいい
かけがえの無い何かを
燃え尽きてしまわない、何かを
持って行けますように
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もう一度
私の元へ、産まれておいで
早すぎる旅立ちを嘆きだけで
見送りたくないの
願い、祈りよ
どうかあの子に届いて
私の元へ、迷わぬように
愛しく暖かい胎動が
私の中に宿りますように
もう一度
私の元へ、産まれておいで
今度こそは
あなたの目に沢山の美しい景色がうつりますように
あなたに沢山の愛情を
与えることができますように
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あんなに水をあげて
育ててきた花が
ほんの小さな火によって灰になる
信頼は、すぐ手に入らない
しかし、失うのは一瞬
一つの言葉
一つの行動
それらが火種となるだろう
詩人:大示 | [投票][編集] |
時々、思い出すよ
朝焼けの中の
まるで影絵の様に真っ黒な君を
きれいな、その世界を
ねぇ、その世界では肌の色なんて
気にならないんだよ
きれいな朝焼けの中で
感動して、笑って
そこには遠い日の人間がいたよ
君は今、感動していますか
どんなに小さな幸せにも
笑顔で応えていますか
詩人:大示 | [投票][編集] |
『私』という存在は
今の私が終わり
そして、また
『誰か』として始まる時にも
感じられるのでしょうか
それは、この国で?
それとも、どこか遠い別の国?
此処とは違う
この世界のどこかで
また生きて行くのでしょう
数十年後の小さな『私』は
幸せですか
今、あなたに成るために
私は生きています
詩人:大示 | [投票][編集] |
僕は、どこ
規則
道徳
時間
嘲笑
焦燥
失望
深く潜っても、見つからない
たくさんの下敷きになって
一番下の僕は
原形をとどめているのだろうか
そもそも、元の形なんて
あったのだろうか
詩人:大示 | [投票][編集] |
静かな夜に
壊れた時計
曲がった針を逆回し
今日 昨日 数日 数年前
私の生まれたその時の
その瞬間
過去は道を塞いで
声を張り上げる
引き返しなさい
充分に生きなさい
地を這ってでも
生きなさい、と
夢が途切れる前のあの声は
うろ覚えの、あの人だった
壊れた時計は、もう要らない
詩人:大示 | [投票][編集] |
魚には虫を
花には水を
人には・・・・
僕には・・・・
結局、何が欲しいのだろう
心が欲を呼ぶのなら
欲が悪夢を生み出すのなら
『壊れてしまえ』
僕より先に呟いたのは
道端に忘れられた
小さな人形
その声はうつろに
それでも確かに
僕のガラクタの心に突き刺さった
何も欲しがれない人形
唐突に造り出されて
忘れられて
詩人:大示 | [投票][編集] |
大きな建造物の群れ
その下には
たくさんの自然の屍
抉られ
埋められ
切り刻まれて
だから
『災害が起きません様に』
なんて
僕は絶対に願わない
そう、絶対に