詩人:百年草 | [投票][編集] |
私達は悩む
そして求める
それはまるで
一時の幸福を
永遠のように
錯覚させる
麻薬のよう。
それでも求めるのは
知っているから
錯覚が産む奇跡を
奇跡が産む永遠を
だからまた恋をする
百年後もその先も
きっと永遠に恋をする
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その少女は
白いコスモスを
一輪摘んだ。
花びらが一枚、一枚
ヒラヒラと舞う。
ふと、最後の一枚で
手が止まる。
そして、もう一輪摘む。
今度は桃色のコスモス。
思わず私は
『花びらの数が
奇数なら¨好き¨から
偶数なら¨嫌い¨から
はじめればいいのよ』
なんてお節介
すると少女は私に言った
『嫌いからはじまる恋愛なんてないでしょ?』
少女の純真美しく。
秋空に、映える。
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ゆら…、
ユラ…。
秋風に揺れる。
紫色の花が、
優しく、
咲いている。
花の前には、
涙を流す一人の
少女がいた。
肌寒い風に
吹かれながら、
少女は目を腫らす。
花は揺れる…。
それはまるで、
少女に
語りかけるように。
そんな花を見て、
少女はまた涙した。
私はなにも聞かず、
一つだけ
教えてあげた。
竜胆の花言葉。
…。
『悲しんでいる
あなたを愛する』
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山茶花梅雨の頃に
決まってあなたを
思い出します
冷たい雨に濡れる
そのキレイな花が
まるで泣いている
あなたのようだから
いっそ雪に変わって
しまえば
涙には見えなくなる
のでしょうが…
山茶花梅雨の頃に
あなたは
泣いていました
泣かせたのは
僕でした
ごめんねも
ありがとうも
伝えられないままですが
今でもあなたの
幸福を祈っています
いつのまにか空は
泣き止んで
そのキレイな花は
光と一緒に笑っていました
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瞬きする度
変わってゆく
景色の中で
人知れず咲く
花がありました
雪に埋もれる
その花は
あなたのように
凛々しくて
目まぐるしく
変わってゆく
この世界で
必死に咲いた
花がありました
時間(とき)に
埋もれたその花は
あなたのように
儚かった…
二人で歩いて
残した足跡
雪に残る
その足跡は
今はもう一つ
それでもあなたを
思いながら
一歩、一歩を
踏み締める
『私はあなたに
近付いてるの?』
答えのない疑問を
抱えながら
ゆっくりと、歩く
雪に眠るその花を
踏み潰して
しまわぬように
ゆっくりと歩いてく
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止みそうで止まない
小雨は降り続く。
いつもの帰り道。
君の笑顔を
思い出す。
まるで人目を
避けるように
紫華鬘の花が
咲いている。
僕と陰とを
眺めながら。
傘もささずに
歩く道。
最後に見た君は
泣いていた。
紫華鬘は
僕に優しく
微笑むように
咲いている。
この花のように
強くあろうと、
心密かに
誓いを立てて。
今はまだ
空と同じように、
泣いてみる。
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僕は色のない草。
赤でもないし、
白でもない。
まして緑でもない。
蕾がないから
花は咲かないし、
花がないから
実もならない。
それでも何故か
ここにいる。
根をはって、
生きている。
そうさ
僕は生きている。
そうだ
僕は生きてゆく。
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いつの事だろう。
キミが初めてここに
来たのは。
勝手に付けた
格好の悪い名前で
ボクを呼ぶキミ。
毎日のように
来るから、
ボクもその名前に
慣れてしまったよ。
いつだったかな?
君の手には
小さな花。
その花を
ボクの首に
着けてくれた。
ボクは
男の子だから、
少し恥ずかし
かったよ。
いつからだろう。
キミがここに
来なくなったのは。
ボクは何度か
空に向かって
鳴いてみる。
寂しい訳じゃない。
きっと、
只 退屈なだけ。
いつからだろう。
キミに会いたいと
願うように
なったのは。
ボクは何度か
空に向かって
鳴いてみる、
泣いてみる。
いつかまた
キミがここに
来た時に、
一目でボクだと
わかるように、
首には
花をさげたまま。
ボクは何度も
空に向かって
鳴いてみる、
泣いてみる、
哭いてみる。
気付いたら
ボクの喉は、
花と一緒に、
枯れていた。
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誰もが感動できる詩を
書こうと思ってみても
最初の一節すら
思い浮かばない私には
きっと
一生無理なんだろう。
それならせめて
最後の一節を
書き残したい。
それは決して
感動できるものでは
ないけれど
私が詩人であった
証となってくれるはず。
証を建てるには
早過ぎるかも
しれないけど。
未熟な詩人の
未熟な詩は
完成することなく
消えていくのだ。
それでも私は
『この世の全てを
愛して死にたい』
詩人とは、
この世界に綺麗事を伝える為に
いるのだから…
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揺れる心は定まらず
水面に広がる布袋葵
私を惑わす二筋の風
どうか止んで
惑わさないで
けれどいつしか
揺れる心に酔いしれて
私の心は色多くなる
変わらず一色布袋葵
選べぬ自分が只愛しい
風よどうか止まないで