| 詩人:旅人モドキ(左利き) | [投票][編集] |
ピラミッド
天を突く構造
おれの目指す頂
幾重にも積む歴史
すき間なく築く技術
遺された先人からの宝
まだ返還を拒む理由
発掘を始めた時点
きみと結ぶ契約
破らずに保存
いわば自負
流れた悔し涙
おれを哀れむ声
歯をむき出す頭骨
せせら笑い侮る文明
アウストラロピテクス
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怒りを排泄する
それは便器にこびり付く
鬱憤を晴らせず
おれは老廃物を溜めこむ
臭い記憶を放つ
それは闇に拡散して漂う
隠蔽するが綻ぶ
おれは神経をすり減らす
毒づき煙にまく
それは理性を麻痺させる
欲望が牙をむく
おれは淫らな快楽に酔う
拘りを嘔吐する
それは飾られた言葉の筈
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やっぱり言葉は行動を超えられないって
きみが進んでゆく方向を見失ったのならば ちっぽけな標識を手がかりにするだろう
きみの人生にとって言葉がそれを形づくる しょっぱい涙を流し苦難の道を歩んでも
きみが足を踏みだす能力に言葉だけでなく てきぱきと課題を片づける行動を起こせ
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なんで気の毒なんだろう ずいぶん昔に感じた疑問
おれは今わかる気がするんだ
傷ついた人をかわいそうに思い 同情をこめて見つめる世間
それを毒と呼ぶんじゃないか
どんなに理解しようと努めても きっと除去できない苦痛
おれの毒をもって和らげる薬など一服もろう
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きみは柔らかに楽器を弾いているから
足は覆い隠されているが挑発されそう
きみの奏でる曲にずっと酔いしれたい
指があでやかに弦を鳴らす優雅な響き
きみが漂わせる麗しい香りの虜になる
唇がなまめく輝きを放つとき浮かべる
その美しい微笑みもすごく好きなんだ
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それは幻で妖精からの新しく鮮やかな伝説だと思うよ
悠久なる地球が思わず誇らしげに歴史をもって実験するんだ
命を懸けて貴重なときめきに恋をすれば
情けは気高い器であり確実に自らを助けるはずなんだ
心の傷や悩みでさえも粗野なふるまいを癒せるから
この全身を地球に委ねて見返りは空の彼方に願おう
何故だか色あせた黄土の大地が心を和ませるのは
仲間のおかげで朝もやと花冷えに日向ぼっこする体があるから
背筋を伸ばして関節や爪先をみなぎらせる血潮なんだよ
快楽へと猛りながら飛び跳ねるならば満足している
そして物音を聞きつけて羽ばたく海猫よ
柔らかに響く美しい鳴き声にずっとほれているんだもんな
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きみが口にした 命は切りうりできないって言葉
不意に思いだすのは とある事故を起こした旅客機が 競売されると知って
あの時に語ってくれた銀世界 きみは大地に描けたのか
幸福になれる保証書なんて きっと作れないって気持ち 分かちあいたくて生きぬく日常
きみに遺された 青写真をこの胸に染みこませたい
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現代を嗅ぎわける鼻は
吹きすさぶ寒風すらも 物ともせず探り当てる
おれを狂わせる鈍痛が
毒蛇の如く襲いかかり お顔は蒼白に染まれば
息を殺して侵入される
記憶から薄れゆく傷が 癒えるまで膿を除去し
おれの空っぽな脳髄を
拡散した匂いで埋める おごれる妖魔が被せた
お耳の裏まで覆う仮面
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きみは森で立ちつくす
不意にバッタリ遇った 鳥みたいなヒトが歩く状況に
パニックに陥るきみの思考は鈍るが
どうやら反比例する足なのか 猛ダッシュで駆け寄る
鳥みたいなヒトが振り返った
ビックリして動きを止めると ものすごい速度で逃げてしまう
きみも負けずに突っ走る
追跡の果てにたどり着くのは でっかい卵みたいな塔だ
ポッカリ穴の開いた入口をくぐる
すると両側を壁に挟まれ 坂がスパイラルに続く
上りつめた先に広がるのは
パラレルな世界だった 鳥みたいなヒトたちが舞い踊る
きみは歌声に聴きほれる
理想郷なんだと感じ ウットリして拍手すれば
スキップで近づいてしまう
それでも歓迎するはず 期待は鮮やかに覆された
鳥みたいなヒトたちが
ガッカリした顔で 気の毒そうに見つめた
きみは戻るという針路を選んだ ふくらむ喜びに導かれて
悲しみのデフレイションを連れて
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問題ならば密かにクリアする段階へと動く
難なく鋭敏な輩さえも黙らせる仕上がり
のめり込みキャンバスに描く虚飾でも
性こりも無く闇雲に手をだす金づる
魔術と見まがう程のテクニックで
るり色を執拗に塗り重ねながら
れんれんとリッチな醍醐味を
さも当然とばかり貪り続ければ
示威を思う存分にプッシュするも
暗に真贋を鑑みたと匂わせて欺こう
できる限りの細工を施せばサインして
数奇な道をたどる愚か者など眼中にない
素しらぬ顔でフェイクを巧妙に売りさばけ