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理恵の部屋


[135] テオ
詩人:理恵 [投票][編集]



数年前、彼からその絵画を買い取った
とても魅力的な一枚だ
私が踵を返すとき
待ってくれと彼は言う


これなんかもどうだい?
なんて、テーブルに広げて


潮のように渦巻いて
星まで自己主張の強い夜の空


なんだその絵は? 勘弁だ!
私は静かな夜がいい!


そう言うと、彼はじゃあこれは? と
茶色い絵を持ってきた


おいおい、きみは正気かい?
こんな花瓶に収まる花が
太陽の下伸びゆくひまわりなんて


悪いが今日はこれで終わりだと
歩き出した後ろから
いやぁ、すまないと声がした


しかしそいつは凄い画家だから
また見てやってくれなんて笑いつつ
彼はそれをしまいこむ


全く! その青が渦巻く夜に
何を見てるか知らないが


その画家の絵が一枚売れたと聞いたのは
それからまもなくのことだった


いま、二つ並んだ石を見て
なるほど、私にはわからないわけだ
そこにはただただ、風が吹く
彼は今日も信じているのか
その石に刻まれた、同じ名のもとに





R1.11.25

2020/08/20 (Thu)

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