詩人:ふくざわゆいと | [投票][編集] |
あれから 11年経った
同じように 月が綺麗で
空もよく晴れていた
月日が経って
新しい出会いや経験の中で
キミのことが 消えてゆく
忘れたいわけじゃない
だけど 頑なに思ってもいない
初めて 10年を越えて
自然体で 迎えられているのかもしれない
思い出さないワケじゃないけど
縛られているつもりもないよ
ボクだけが 歳をとることが
老けてゆくことが 恐くて
嫌だと 感じている時期もあった
けど 今はそれもないよ
キミの分まで幸せになるんだと
意気込んでいた時期もあった
今は そこまで背負ってもいない
ボクは ボクで生きてゆくよ
ボクは ボクで幸せになるよ
だから 今までとは
また違った視点で 天空から見ていてね
キミにすがったりせずに ちゃんと
自分の力で 立ち上がるから
自分の力で 前を向くから
もちろん 多くの人に助けられて
支えられて 生きてゆくよ
ありがとう
さようならではないけど
また少し ほんの少しだけ
違った想いで 空を見てるよ
どうか今 この心が 想いが
キミにも伝わりますように
誰かを 好きになることの
尊さを 教えてくれた人
ありがとう
やっぱり 出逢えてよかった
キミを好きになってよかった
素直な気持ちで
後ろを 振り返らないで
ボクは
前へ 明日へ 歩いて行くよ
キミがいなくなった 世界で
キミと生きたかった 世界で
いや きっと違うね これからは
キミが確かに生きた 世界で
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ある人は 言った
「子どもは宝物だ」と
その言葉は 果たして本当なのか
なんで 大切にしないの?
お腹を痛めて 命懸けで産んだのに
なんで 大切にしてあげないの?
親は「親になりたい」と
望むことが出来るけど
子は「生まれてくる場所」を
選ぶことも許されない
なんで 大切にしてくれないの?
両親のエゴ
ホントに欲しかった?
それとも何? 快楽の果て?
だから 育てようとしないの?
作られた 試作品
出てきたら 失敗作
だから 面倒になって預けたの?
思い描いてた理想と 現実
あまりにも かけ離れてた?
周りのように 上手くやれなかった?
ねぇ
言うこと 黙って聞く子が偉いの?
だから 理由も聞かずに殴るの?
なんでも従う子だけが 可愛いの?
だから 従わないと叩くの?
ねぇ お父さん お母さん
どうして
大切にしてくれなかったの…?
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誰かが 受け止めてやらなきゃいけない
誰かが 我慢してやらなきゃいけない
この子は まだ
自分のしていることの 過ちを
気付けないでいるから
口頭で伝えるよりも
暴力に訴えるよりも
体験して 失敗して
学んでいった方がいい
人は 所詮
他人の話に 真剣になる瞬間なんて
ほんのわずかだ
ほとんど 聞いちゃいない
自分で 痛い目に遭って
初めて 考え始めるのだから
そうなるまでは…
でなければ きっと
あの子はずっと
独りきりになってしまうだろう
誤解され続けてしまうだろう
だから あえて
声をかけない 手を差し伸べない
黙って見守る なにがあっても
優しく強く いなければ…
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聞こえない 心の声が
どんなに 耳をすませてみても
都会の喧騒に かき消されていく
なにも思いつかず 閃きも失って
傷ついたあなたを想い 言葉にしたくても
なんと声を かけたらいいのか
分からない
ただ それでも…
こぼれ落ちる涙を 放っておけなかった
気づいたら 強く抱きしめていた
ごめんね…
なにも言えないけど せめて
なにか 届きますように
どうか 伝わりますように
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物心 ついたときには
すでに そう呼ばれていた
自覚は あとから芽生えた感じ
「自分のもの」だという
絶対的な 感覚はなくて
だけど
それでも いつの間にか
自分を表す 記号だった
好きでそうなったわけじゃない
自分で決めたものでもない
だけど
それなのに なぜか
バカにされたり 嘲笑われると
どこか 傷ついている気がする
それよりも 自分自身よりも
そう名付けてくれた
願いを込めてくれた
家族に 申し訳なく
思えてきたりする
なんだろうね この感覚は
自分の名前
「好き」ってワケでもないのに
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記憶を人質にとられて
戦うしかなかった
生まれて 今に至るまで
生きてきた記憶を 取り戻したくて
本当の自分が知りたくて
戦わざるを得なかった
仕組まれた頭痛
薬が無いと止まない
度重なる戦闘に 身も心もやつれた…
それでも ここでは
「兵士」としてじゃなく
「兵器」として扱われてしまう
名前さえ番号 4番目の試験体
苦しみながら 彷徨って
見た目は 普通の女の子でも
他人は 「強化人間」と呼ぶ
乗りたくもないのに 壊したくもないのに
仕組まれた機械に 操られて
無差別に 破壊を繰り返す
「これは本当の自分では無い」と
知りながら 止められず
葛藤し蝕まれ 死んでいった
街を壊したかったんじゃない
戦争がしたかったんじゃない
その目的の為に 造られたとしても
本当に ただ純粋に
自分の記憶を 取り戻したかった
ぬくもりの中で 生きていきたかった
誰かに愛され 愛したかった
もっと あなたと一緒に…
詩人:ふくざわゆいと | [投票][編集] |
悪いことをしている
分かっている その自覚がある
悪いことをし続けている
けれど 仕方ない
生きるため
幼い妹、弟を養うため
戦争に巻き込まれて 両親はいない
「私が育てなきゃ…」
そんな使命感と引き替えに
コードネーム 107
私の流した情報で 戦争がまた始まっていく
潜入先の敵戦艦には
家に置いてきた 妹や弟と
変わらない年頃の子供たち
「なんてことをしてしまったんだ…」
「この子たちをも巻き込んでしまったのか…」
強い後悔に襲われて
こんな人生を変えたくて
キッカケが すぐ目の前にあって
だから それにすがる思いで
迷わず 飛び込んだ
それで救われるのか 分からない
けれど なにもせずにはいられない
変われそうな気がして
今までの罪の意識もあって
せめてもの償いをしたくて
なにかの役に立ちたくて
だから 危険と知りながら
彼女は 飛び込んだ
そして そのまま帰らなかった…
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10年前と 同じ日付
思い出さずにはいられない
あの日も こんな空だった
秋晴れの 綺麗な空だった
キミと 二度と逢えなくなった日
キミが 空へ還っていった日
ごめんね
10年も経ってしまった
それでも ボクは惨めにも
キミの分まで 生きているつもり
だから
春も夏も冬も そして
キミが旅立ってしまった秋も
結局 誰もそばに居なくて…
独りで 空を見上げているんだ
今までよりも この日を迎えるのが
少しずつ 楽になってきた気がするのは
ボクが 受け入れることができたのか
それとも だんだんと忘れているのか
分からないよ
でも 忘れないよ
初めて「好き」と 言ってくれた人
初めて 「好き」を教えてくれた人
いつまでも この胸に
そっと しまいこんで
周りみたいには なれなくても
独りでも ひとりじゃない
いや 独りじゃなかったんだって
キミがいたから 生きていける
生きていくんだ
あの日
すべてが変わってしまった…
守ってあげられなかった…
ホントは幸せにしてあげたかった…
叶えてあげられなかった
たくさん苦悩した
なにもかもに絶望した
後を追おうかとさえ思った
それでも… ボクは… キミのことが…
今は素直に想えるよ
ありがとう 出逢ってくれて
ボクばかり 老けてしまうね
それでも天国で 見守っていてね
いつか きっと幸せになるから
希望を捨てずに 生きていくよ
大好きだよ
初めて「好き」になった人
初めて付き合ってくれた彼女
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哀しかった
知りたくなかった
あなたが見ていたのは 私じゃなかった
あなたの中にいる 別の誰か
それが誰なのか 分からないけど
私といて あなたはそれでいいの?
私といて あなたは本当に幸せなの?
いつからか 気付かないうちに
見えない誰かの その面影を
重ねられていただけだった…