詩人:フィリップ | [投票][編集] |
広い広い
この宇宙の何処かで
何億光年の彼方
僕は君と巡り逢う
広い広い
この宇宙の中で
飴玉の様な数多の星が
周り転がっている
広い広い
この宇宙の果てで
きっと僕らは朽ち果て
輝く星に生まれ変わる
僕や誰かの心の中で
無限のハズだった宇宙は
幾多の生命の軌跡を経て
小さく儚げに揺れながら
今僕の側で
新たな産声をあげた
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この名も無き花は
セピアを知らない
悠久の時を越えるのだ
花片は散るけども
この名も無き花は
いつか見た青い空
涙が出る程苦しい時
「涙はしょっぱい味がするから流さぬ方がいい」と
いつも語りかけて来る
この名も無き花を
枯らしてはいけない
そう感じれる程
この花は美しいのだ
いつだって
僕を包み込んでくれる
この名も無き花の名は
今は無い
ただ
輝く命の煌めきが
優しい時間を
思い出させてくれる
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静かに聞こえる
星屑の歌声
薄暗い真夜中の部屋に
アロマキャンドルの灯りが小さく揺れて
銀河が瞬いた
誰かが呟いた
あの儚げな声は
やがて消え行くもので
それでも僕は
耳を済ませ続けた
あぁ聞こえる
輝く太陽の向こうから
僕を呼ぶ誰かの声が
弱々しげに揺れ途切れ
繰り返し繰り返しに
悲しいかな
それはきっと
僕の心の想いで
今 形の無い心も
気持ちの通わぬ言葉も
それはきっと
愛ゆえのことで
無限に輝く星の中に
混じり広がり
ぶつかり合う
それでも
結局最後はやっぱり
「愛してる」になるんだ
宇宙に転がる愛の言葉
それはきっと
この宇宙の何処にでも
存在していて
いつだって
僕たちの頭上に浮かび
飛び交っている
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手を伸ばした瞬間
世界は透き通っていった
未来へと投げられた
青色のボールは
水平線を走りながら
太陽に恋をして
空に溶けた
ほどよい深度では
空に憧れる魚たちが
屈折した光の波に
飲み込まれながら
個性を際立てている
クリアな光景はいつも
僕の周りのそこらじゅうに転がっている
そのうえ
透き通っていく世界は
僕を含める
あらゆるものを取り込み
色付いていく
クリアな部分など
もうどこにもない
僕の指が
瑞々しい思い出に触れ
水中では新しい世界への
クリアな調和が始まる
まるで
時期が来たかのように
水面でも水中でも
波紋が溶けていく
世界の息吹と
僕の鼓動と一緒に
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かみさまは両手に
愛と哀を乗せた
目に見えぬ天秤にかけて
結局どちらも同じくらい
重たかった
ダイニングキッチンの
灯りが溢れる窓際に
大金はたいて買った
シャガールの絵を飾った
それが幾らの価値か
どれほどの物なのか
僕は知らない
作品名さえも
形のある全てのものを
僕は空っぽの部屋に
取り入れたかった
だけど
価値も意味合いも知らない僕が部屋を飾っても
彼等はその輝きを
消すのではないかと思い
諦めた
飾られていたシャガールは、ちょっとだけ背伸びしていた
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過ぎ去った遠い日の
薄い埃を手ではたいたら
ベランダで
君が笑った
屈託の無い笑顔を作り出す君の、その茶色い瞳と
雨の日の空を見て
この空の向こうは晴れている、と鉛雲に呟く
君の横顔に僕は憧れていたのだと思う
風に棚引く黒い髪
つかの間のにわか雨は
陽炎のような揺らめきを
窓際に残して消え
代わりに夕焼けが来た
ほら晴れた、と
君が悪戯っぽく笑った
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星と星の間に
不均等に交わる輝きの中
打ち上げられた僕の声は
もう火星を過ぎたのでしょうか
溢れる太陽の光
未来はきっとそこにあるんだ
とめど無く漂う宇宙の波に体を横たえていると
遠い日に戻れる気がした
宇宙は多分無限じゃない
そう思う頃には
さ迷う僕の声は
太陽系を越えて
遠くアンドロメダまで
届いているのでしょうか
もう取り戻せなくなった
あなたの声を諦めるよう
指を立てながら
星座の数を数えていると
西の空から降る流星群に
便乗するかのよう
僕の頬を涙が伝ってゆく
有限宇宙の彼方で
幾重に重なっている
眩い未来が
星の輝きに交じりながら
今
僕のいる大地を
照らしていく
たった一度きり届いた
あなたの返事は
海辺の朝霧の中
雲づたいに青い空へ
白い月の模様で
また上層へと消えていく
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空があって
大地が生まれ
地球は球体になった
一握りの光景は
古の空の調べ
空があって
海が生まれて
魂はヒトに生まれ変わる
国道沿いに歩いていく
歪な僕の歩調は
空の色を紅に変えた
右から左へ流れる
あの風のように
空が、なびいている
太陽から降り注ぐ
各々のスペクトルは
自分たちの色を知らない
空の向こうは
宇宙かと思ってたけど
やっぱり空で
僕の宇宙への憧れは
潰えてしまったけれど
宇宙って「そら」って読むんだよな
空
生命の上空
エーテルの手前
空
宇宙の香り
君の温もり
なんてな
なんてな
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改札の裏
いつもの風に
握手をする
遠い日の僕
上手く笑えず
ぎこなちない君の
笑顔が
数年の時を経て尚
浮かんでいる
アルデバラン
統星の謳
シナモンロール
錆び付いたナイフとフォーク
シンフォニー
夕焼け空
クリップに止めていた永遠が
夕凪に溶けていく
君の香りだけを
僕に残して
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吹き上げられる
空の視界を
無意識に横切った
オレンジ色の
ラジカセを抱えて
穴あきの世界で
風を待つ
世界はずれていく
右から左へ
一定の速度でもって
曇った吐息は
髪のたなびきと一体化したまま
生まれたての言葉を僕に投げ掛ける
風のない空
待ち惚ける指先
刻まれ続ける
時代の鼓動
風は
僕を待っていたらしい