詩人:フィリップ | [投票][編集] |
詩は呼吸している
いくつかを束ねた
この本の中で
今、この瞬間でさえも
詩はためらっている
伝えるべき言葉を
間違わぬように
悲しみを、増やさぬように
詩はくすぶっている
愛ってのを
探していたら
すぐ側で見つかったので、何をすべきか迷ってるんだ
詩は
詩は
あとは
思いつかないや
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道草食ってた
放課後、あの頃
つまらない約束で
滅んでしまった
小指の契り
切られたりはしなかったけれど
肝心な事は
既に置き忘れてしまっていた
コンセントの無い部屋に転がる、携帯電話の充電器は
既に未来を
突き止めていたなんて
刺激が少し
強かったみたいだ
思い出した、追憶
アルミニウムの弁当箱に
同調する、ガラナ
戻れない、その日
転がったビー玉は
僕の涙を
吸い取ってくれていた
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夕日浴びた土管の上に転がる心
汗の滲む手のひらはいつも
パチンコ玉を握っていた
神社に繰り広げられる決闘
でも
僕も君も
月光仮面だった
日が暮れる時に
明日の見えない、約束
交わした言葉はいつも、バイバイ
さようなら、は言いたくなかったから
しゃがみ込む
僕の手のひらを
泥をつけて、と叱りつつ
握ってくれた、手のひらは、あたたかった
リアルタイム放課後
永遠の時間
ひぐらしの声
僕は今も、
生きています
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水玉に浸った世界の中で
さっき轍を踏んだ
平行する宇宙の
片隅を切り取って
僕の部屋に取り込んでみる
ニューカラーを醸し出すカーテンは
古臭い風を
運んできたけれど
さっき買った
ホットレモンティーを
抱えて座り込むと、感じる
僕の体温も
同じくらいだ
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あなたは
歌う
言葉が詩に成りきれない位ならと
あなたは
願う
夜空に星が無い夜がもう来ないように
あなたは
笑う
この笑顔で世界が救えるならと
涙で世界中が
堕ちる位ならと
あなたを抱く
僕のこの手が
昨日より今日
今日より明日へと
力強くなるように
僕も歌い
僕も願い
僕も笑う
過去など
知ってはないけれど
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1・日常の結晶
黙っているけれど
潜んだまま出てこないけれど
なんでもない日常
それが人生
茹でたパスタ
公園の子供
その顔の輝き
それだけで人は
生きていける
2・世界の結晶
アメリカはあんなに大きいのに
日本はこんなに小さくて可哀想
不平等な世界の中で私は
不平等にどんどん大きくなるのに
3・水の結晶
生命の源の水
その源って
一体何だろう
やっぱ、水なんだろうか
4・命の結晶
今あんなに考えたじゃないか
今こんなに考えてるじゃないか
詩人として僕は
言葉をこんなに
投げつけているじゃないか
結晶なんてもの
カッコつけて探ったって
何にもわからないから
飽きて止めた僕は
既に言葉の結晶を
創り出し
紡いでいた事を
まだ知らない
そうして
僕は今、覚えた
既に僕そのものが
一つの結晶となっていることを
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お腹が空いていたので
行きずりのラーメン屋に入った
チャーハンにしようか
ラーメンにしようか迷いながら
こんな感じで詩を書いていたら
ラーメンを食べたくなった
注文するとき
「アルデンテで」
と言いそうになり
思わず口を閉じた
何気ない
日本のラーメン屋にて
僕は何故か
異国の情緒を感じたらしい
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蕾がひらいた
未熟な朝に
僕は目を覚ました
夜を吸ったベッドの上で
君がまだ眠っている
覚えたての言葉を抱いて
笑うような表情で
藍染めの扇子
空の青さ
海の碧さ
世界の蒼さ
忘れられていく
青の言葉は
一定の温度を取り巻いたまま
捨て忘れたゴミと一緒に
散乱していた
手付かずの愛を拾う僕のすべては
日々
失われてゆくけれど
目の前に有る真実だけでも
優しく美しく
僕は幸せになれた
花がひらいた
未熟な朝に
僕は愛した
蒼の夜を越えたばかりの朝は
まだ、藍色
愛をしてる
愛してる
「を」すら取り除いた世界の中
永く続いた沈黙の後
見せてくれた
君の笑顔は
いつも、インディゴ