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フィリップの部屋  〜 新着順表示 〜


[333] スプラーチカ
詩人:フィリップ [投票][編集]

知らない街で
地図だけを持って佇んでからは
一人で歩こうとして
結局歩こうとしただけだったりして
あきらめて浮かぶ事にした


世界を掻き鳴らすような音楽が聴きたい
とか何とか言っているミュージシャンの友達がいて
今日になって
彼を凄いと思った
音楽とか歌だとか
そんな簡単なもので言葉はくくれない
空が表情を見せると
何かがどうでもよくなってくる


スプラーチカ
僕らはうみおとされて
どの町に帰って来るのだろう
一篇の詩がすべてを決める
そんな世界なんか見たくなくて
また一人で漂っている


安直な会話をすると
心が腫れる
いつも振り返っているのに
その現象一つ一つが
思い出せない

2008/12/16 (Tue)

[332] Snow,Snow
詩人:フィリップ [投票][編集]

君の夜が音を立てたので
僕は乗り遅れてしまった

砕け散る六角形

溶けてしまわなければ、ずっと繋がっていられたのに

2008/12/10 (Wed)

[331] シーニュ
詩人:フィリップ [投票][編集]

美容室のドアをくぐる時
いつも緊張するんだ

つん、と鼻をつくパーマ液のにおいが
どうも、好きにはなれなくて


最終一本前の電車に乗るように
詩を書いてみる
駆け込み乗車みたいに
駆け込んで書くより、フラリ
それくらいが、丁度いい


シーニュ
夜中に声を震わせるから
なんだか急に悲しくなってしまう
やんわりとした光の中に
僕は今日も置いてけぼりだ
月日ばかりが過ぎてゆく
何にも残さないで消えてゆく
例えば
タバコの種類とか
そこのラーメン屋とか

君の中に置き忘れてきた
僕の気持ちだとか

2008/10/25 (Sat)

[330] 知らない人の手をつなぐ
詩人:フィリップ [投票][編集]

大桟橋のビューポイントに立っていた女性に声をかけた

「詩集のカバー写真を撮りたいので、五分間だけ彼女になって下さい」

そしたら、彼女は僕の手を握ってくれた

子供が小銭を握り締めるように
彼女は、僕の魂を握り締めた
言葉なんていらない
横浜トリエンナーレの夕焼けが
音もなく過ぎていく

知らない街で、知らない人と手を繋ぐ
どんな劇的な出会いよりも
こっちの方が
何だかキュンとくる気がした

2008/10/05 (Sun)

[329] マーマレード・レッスン
詩人:フィリップ [投票][編集]

朝がきて
出掛けた先はいつも
マーマレードみたいな色をしている


つまずいた先のショーウィンドウで
その時に受け止めた両手の温もりがまだ残っている

君の時間を僕にあずけて
交わす言葉に意味はいらない


朝がきて
起きぬけの風の中で母性を見つける
「風邪をひくから、キスはしないでおこう」
と言ってた

2008/09/11 (Thu)

[326] リバー通りの深夜行
詩人:フィリップ [投票][編集]

夜が更けて
バイトを終えて
しばらくして
国道180号沿いの
すき家を出る
街灯がぼんやりと目にしみる
さっき飲んだウーロン茶が
体から抜け出たような気がした


自宅近くのリバー通りを散歩した
ケータイから流れ出る
音質の悪い音楽が耳をつんざく
それでも何も無いよりはマシだったりして
そのくせ
君の体温を肌に欲しがったりして
なんてな


好きだよ、なんて
頭の中で記憶をリピートしたりして
気がつけば
同じコースを三周していた
四周しようが
五周しようが
好きだよ、なんて言葉は
もう君の声じゃない
この記憶の声は
僕のもの
変質者って
意外にロマンチストなんだな
とか思ったりして
なんてな


街灯の下で
深夜行をやめる

リバー通りの
川のせせらぎが
急に怖くなる
気配を感じて
振り返ったら
やっぱり誰もいなかったりして
それで
安心しきって
家路についたりして
なんてな
なんてな

2008/09/04 (Thu)

[325] 
詩人:フィリップ [投票][編集]

言葉が愛をつなぐんだよ、って
誰かが教えてくれた気がするから


詩で祝福されて
始まる朝があってもいい

2008/08/20 (Wed)

[324] 送信しました
詩人:フィリップ [投票][編集]

メールを打ち終わった時に
ケータイの液晶画面にて
「送信しました」と出るのを
僕は必ず確認する

キーボードを一回押すごとに
僕の想いは蓄積されていく
完成した電子レターを構成する言葉の一文字ひともじが
電波に乗って
「好きです」と伝えてくれるので
一人で部屋にいるにも関わらず
毎回僕は
汗だくになっている

今宵は特別に
心臓がばくばくして
口に水をふくむと
気が楽になる

あんなにメールしているのに
明日会う君の
メールでの返事が思い出せない

2008/08/20 (Wed)

[323] SunSet Bruce
詩人:フィリップ [投票][編集]

つい最近
隣の世界から越してきた友人と
信号待ちをする

小さく流れ出る
異国の情緒が
空を紅く燃やす
溶け合った紫とオレンジからなるブルースだけが、君のすべて
交差点の角度で消えていく世界の小ささに
僕は驚愕した


世界の最期は
案外早くに来るものだと思った
異国の匂いが幾らか好きになった途端
あっけなく消えたのには
怒りも悲しみもなく
そのくせ
右手に見える大病院では
世界は再生を始めている
屍の山を踏み分けてくるものを
明日と呼ぶのだ
どこかで誰かが
未来だと言うのだ


「山本君、なんか夕焼けの匂いがしますよ」と
倉敷の街で
倉敷の友達が言った

隣の世界に愛を馳せたくて
信号待ちを諦めて
老松の裏路地を歩く
ホテル街を歩くうちに僕は
あの日のブルースを思い出した

SunSet Bruce
今日と同じ
うすくれないの空
異国のメロディを捨て去って
僕がアレンジした隣の国のブルースは
確かそんなタイトルだったと思う

2008/08/20 (Wed)

[322] 僕たちには、夜がある
詩人:フィリップ [投票][編集]

砂が降って
闇の帳を越え
皮膚だけが呼吸を忘れていく
流れ星
鍵をした部屋に
ヒーローの絵本
夜は
いつだって灯りを求めてくる


夏の果て
フロリダの夕焼け
受話器越しに
声で愛そう
夜が迫ってくる
太陽が消えていく
多分、世界なんて
鉄柵なんかで囲まれていて
果てなく有限だ
つまみ恋
キーボードに託された想いが
風に揺れている


眠る前に
アドレナリンを噛み砕く
今日の僕は死んだ
湧き上がる何かを抑えるだけで
また新しい僕が生まれる
星の輝きも
月灯りもいらない
僕たちには、夜がある
はりめぐらせた送電線をくぐって
浜辺を走ったりしながら
ひたむきに時間を旅している
輪郭だけを残した
僕の夜が明けていく

世界がつづくとしたら
明日は来る
部屋のブラインドの角度で切り込んでくる今日を
誰かが朝と呼ぶ
また生きなければならない時間を
僕はただ
寝て過ごしている

2008/08/15 (Fri)
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