過ぎ去った遠い日の薄い埃を手ではたいたらベランダで君が笑った屈託の無い笑顔を作り出す君の、その茶色い瞳と雨の日の空を見てこの空の向こうは晴れている、と鉛雲に呟く君の横顔に僕は憧れていたのだと思う風に棚引く黒い髪つかの間のにわか雨は陽炎のような揺らめきを窓際に残して消え代わりに夕焼けが来たほら晴れた、と君が悪戯っぽく笑った
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