詩人:是清。 | [投票][編集] |
何で君を求めたのだらうね。
だうして君であつたのだらうね。
一体幾つの僕が君を求めたのだらうね。
沢山の僕と謂ふ欲其の中の幾つが僕と謂ふ意識を持つて君を求めたのだらうね赦しを乞ひ何度でも其の足元に膝を付くけれど何故君の手は振り上げられないのだらうね哀しい顔をして眼をして手をしてまるで君が慰められたがつて/欲しがつてゐるかのやうで僕は今、
君を欲しがる気持ちは此処にずつと息を潜めてゐただからずつと君もずつと求めるこころを隠してきたのだらう哀しくて寂しくて何かずつと足りない儘僕等は手を繋げずに居た簡単な切掛けで今僕は/僕は/僕等は、
一体幾つの僕が君を知らずに居たのだらうね。
一体如何して僕は、
如何して僕の/君の
求めるこころは充たされぬ儘なのだらう。
其れを知らずにゐた頃よりずつと
距離は近い筈なのに、
此の求めるこころは君以外在り得ない
他の一切を拒絶した閉ぢたこころで良い、
渇いた儘で良い、
此の求めるこころは君以外有り得ない。