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是清。の部屋


[126] 蝶の輪。
詩人:是清。 [投票][編集]

諦めて手放して
斜め後ろに倒れ込んだ空
突き飛ばして手に入れて
其の儘前へ転げ落ちた空
積乱雲と赤い蝶

ちらばつてはなれてしまつた
よぞらのかぎとさわれない明日と
うそだらけの今日
のどを掠れさせる
わだち、空の雲の

嗚呼如何したら君を傷付けず泣かせず失はず
想いを遂げる事が出来るだらう?
腐つてまう誰も赦せない手
葦と鴉と青い蝶

ちりぢりになつて
よみのとびらあけ
うまれる
ノワール
わいざつなせかい

欲しがつてゐる
其の手も耳も足も愛しいから狂ほしいから強く抱きしめたくなる深く傷付けたくなる
再三立ち止まつて勧告を受けて未だ見つめ続ける空
廻る世界
誰と誰の?



ちみどろの手と
よるを壊したきみの
うみよりふかい
のみこまれた深い深い
わに生るせかい

廻るせかい
誰と誰の?
積乱雲と葦と鴉と
廻る、
蝶の輪。

2004/06/25 (Fri)

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