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清彦の部屋


[125] 雨模様
詩人:清彦 [投票][得票][編集]

雨滴が木葉を滴り

透明な硝子玉は

永遠のような一瞬を落ちて

地面に衝突する

物理の法則の美しさに例外無く

中心から花火のように砕け

吸い込まれ、染みていく


土に、川に、祈りに、命に

光に、闇に、愛に、空に


激しく降りだした雨

男の傘に打ちつける

愛しき笑顔とさよなら

水溜まりに 波紋が幾重にも

一瞬、あの日々

揺らいで、揺らいで、揺らいで


止まない雨音

膨大な後悔の滴達

ピチャピチャと足音

永遠の記憶に

沈んだり浮かんだりしながら

這っているようだ


自然の法則はいつだってありのまま

人気の無い道路の真ん中で

猫が目玉を出して横たわっていた

男は傘を投げ捨てて

さよならを何度でも噛みしめる

びしょびしょに濡れた身体中

涙だけが熱く頬を伝っていく



僕らの人生はこの雨のように

ただ、落ちて碎け散るだけだ

永遠のような一瞬を通りすぎて

地面に衝突して染みていく


土に、川に、祈りに、命に

光に、闇に、愛に、空に

2015/10/16 (Fri)

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