詩人:ライカ | [投票][編集] |
明日もきっと
光りが一滴
零れ落ちて
世界に染み渡り
誰かのつくった
ルールで
数字が肥えてゆく
懐古主義者の嘆きなどは
最近はシュレッダーで裁断されるらしい
太陽は眩しすぎて
直視できないんだ
だから屋根付きの部屋でモップをかけている
ゴシゴシゴシ
ああ
駄目だよ
そのスピードじゃ
僕は
それに乗り込むと
機体を囲む逆風で息もできない
どうして
歩くスピードや
泳ぐスピードじゃ
満足できないんだい?
ねぇ
綺麗に
ばらいろに染まった時だけ
夕日は美しいんじゃないんだよ
君はきみなりのライクがあって
あなたはあなたなりの心に辞書を抱いている
前ならえをすると
辞書を床に置かなくちゃなんないから
時々腕を下ろして
辞書を引き直す
そして
しっかり
目に焼き付けることのできる
月 と
対話をしてから
目を閉じる
僕は
僕でいたいんだ
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ひゅうっ
毛先が風にさらわれた午後
言葉も奪われ
しばし
心の湖面に
静寂が訪れた
空 っ ぽ だ
居心地が悪かった
(ことばを )
( 言葉が)
息苦しさを覚え
湖面深く身を沈め
その奥に埋もれた言葉を探す
ずぶずぶと
湿り気を帯びる体
重くなりゆく体
水に馴染もうとする衣服
私しかはいれず
私しかいらない
孤独な作業
知を欲し
他を退け
溢れた水は
器を海へと代えた
私は深海に身を投じ
見たこともない
暗いブルーと
なんとも醜い自分
物欲しそうな自分
ひびが入り
愛が零れ落ちて
海藻のように漂う自分を見た
そこは 音の無い世界
でも
ここは 心地が良い
神がおらず
悪がおらず
正義さえいない
なんと
平和
暗闇にはいつか慣れるのだし
…
… でも
言葉が無くちゃ
一瞬
渇きが癒える
言葉には
そんな力があるはずで
癒えぬ渇きを
抱いたまま
見て見ぬふりをして
傷もこさえず
漂うことは
生きる意味はない
私にとって。
ここには
言葉はない
他者が
他がなければ
いらないものだから
そうして
また水面を目指すことにした
月の光りが
零れる夜
そんな風に
今度は地に足をつけ
旅の寄り道は
終わった
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白く味気のない
11番目の扉の奥は
黄色く腹の突っ張った熊の穴ぐらで
あのこは
熊やら
オレンジチークやら
ピンクシャドウやら
大柄な体を
カラフルに囲まれて
肩身狭くして
生きている
初対面の感想は
「笑顔製造工場」
で
それは
彼女なりきの
ショセイジュツ
であろうと
つめたい言葉で
ふりわけた
日々
笑顔を製造する
あのこに
わたしは 学んだ
沢山笑う人は
居心地の良いズレた空間をつくり
自分は
「人間」のいない処で
笑顔の 倍以上
厳しすぎた過去に
泣いて いる
笑顔を切り分けて
日々の糧を得、
涙と
無表情と
一緒にそれを飲み込んで
背を伸ばした
誰より 強く
弱くて
もろく
やっぱり 強い
愛やしあわせは
幻想だとしても
それに準ずるものは
きっとあると信じて
彼女の上に
やさしい春の雨のように降り
「いつものように笑っていたら
いつの間にか
心から
しあわせが溢れていた」
そんな時間がきてほしい
そんな奇跡は
あっていい
こんなに屁理屈屋の私が
そう思うのだ
あのこは
そんなこだ。
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あたしには欲しい言葉がある
愛してる
とか
宝くじ一等当選です!!
とか
君しかいらない
とか
本当は弱いんだね
とか。
誰もくれないから
こんなにヒネたのよ
空が青いだけでムカつくのよ
こんな言葉書いただけで、携帯を持つ手が震えるのは
数年前の事故の後遺症だけってわけじゃなくて
ないものねだりなの?
哀れまれたいの?
嫌気がさす
ここも居場所じゃなかった
迷わない道を
教えて
ゴッド
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今日 久々に土に触り
緑の小さき者どもの生を
存分に絶った
空は嘆きの色に濁り
風は嫌悪の温度で吹きつけ
湿度だけはむんむんと
汗を滴らせた
これはとんだ被害妄想だが。
そんなとき
仲間の鎌が
細長い柔肉を
誤って叩き切った
暴れ狂う
踊り狂う
千切れた身は
長短に別れ
短いほうの身は
動きを止めた
死 か
仲間の謝罪の言葉は
あまりの軽さに宙に立ち消え
これが例えば
今 舞い上がった小鳥であったなら
なんとも
苦く
にがく
罪の意識は湧いて
それでも 結局の所
生きゆくうちに
忘れるのだ
それは
自己投影
でしかあらず
みてくれの近さで
それのしやすさが決まる
この庭にある
過去の
「人間」 の
銅像を
蹴り倒して
鎌で叩き割ったなら
蚯蚓を
切り裂いた以上
罪と感じるだろう
日常気付かないふりをして
他の生を奪っている
例外なく
身勝手な 罪と偽善に浸るのは
感情を持つ我々だけだ
数時間後には忘れ
久々に履いたスニーカーに
剥げかけたペディキュアを
忌々しく思う
身勝手な生き物
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目を開けると
視界の四隅が溶けている
リアルが曖昧で
くらりとぼやける思考は
満ち引きする波のよう
他人の思考が波に乗って流れてきても
混ざり合い
私も溶ける
ああぁ
それでもいいわ
私には
わたしが重いの
くらり
前を行く
あのわたしは
… 誰?
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丁度
その日その時が旅の始まりだった
こんなくたびれた様子で なにかが始まるなんていいのかしらん
然し これ以上の日というのもあるようで無いのだろう
耳障りなノイズと 気違いじみた機械音が
車窓を駆ける粉雪を一層嘆かせる
白い息がほおっと
鼻先を濡らす
湿気と雪と排気ガスの 冷たい香りがした
ラジオを切った
やはり
今日ほどふさわしい日というのはない
フロントガラスに砕けて涙を流す雪の欠片が 確信を持たせた
雪の欠片は悲鳴もあげす 上品にその身を散らすだろう
わたしの心はいつも品無く悲鳴をあげ あたかも場末の喫茶店のバックグラウンドミュージックのように
止むことなく
聴こえるか聴こえないか
サイフォンのくつくつという音の方が大きいくらいの嘆きを
慢性的にあげている
いつも身を縛る痛みは
これくらいがいいのかもしれない
多く過去に睨まれて生きる人間がそうであるよう
わたしもまた
眠りが浅く
凍えている
外界は深い夜と
氷細工の樹木が
漂う
薄ら明るい世界
ふいに身じろぐと
動きづらさから
外套の端をドアに噛まれていることに気がついた
強引に引き抜き 片手だけでしわを直す
改めて
外套のあちらこちらに 赤黒く陰惨についた染みをみやる
車は闇の雪道を
進む
時を凍結してなどくれない
一変した世界が
溶け出す
世間一般的に
わたしに
明日は無い。
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耳を塞いだ
自由を仰ぎ見た
遠い…
自由に夢というジャケットを着せて
髪を染め上げ
首の筋を違えそうなゴツいヘッドフォンをのせた
パンクかギターロックを流して
大人は敵
社会は敵
みんな汚れてやがる
くそくらえ!
…それは自分の言葉じゃないさ
見えない誰かにままならなさを 押し付けてるからむずむずすんだろ
暖かい部屋で
一人鼻水垂らして涙してたって
無駄なのよ
金をかける価値もありゃしない
でも やりかたがわからないんだよね
金で買う
こんな基本の価値しかもらわなかったのだもの
大体のものはマネーで価値がつくでしょ
駄菓子しかり
臓器しかり
だから今日は
境界線を買いに
普遍を操ろうと思うのさ
高すぎてお前にゃ買えないだろって?
ブランドバックの価値一つ決められないやつらに
お伺いたてることは無い
難癖つけりゃ
プラマイ ゼロで
大切なものだけ見えてくる
容易いボーダーラインを
買い占めてやる
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日だまりの車内で
広がったしあわせの唄
口ずさんで数秒
声の重なる時は
いつも 同じ
お気に入りの
澄んだ高音の
サビのとこ
大体どっちかの声が掠れて
「よくこんなに声がでるね」って
照れ笑いする
そんなじんわり暖かい
ある日が
人生のちっぽけな1日として
埋もれるのが
こわい
ぬくもりは
冷めて消えた と
気付く瞬間を
恐れて
笑う
不安を見なかったふりして
笑うんだ
泣けよ
わたし
己で悼まなきゃ
かなしみも成仏できないさ
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あなたが僕を選ぶ日まで
僕は 狂ったように
続ける。
生を。
死、までを。
僕である ことを。
気まぐれで選ばれてもいい
それ自体に価値があり
この世界で
僕は そこにしか価値を見いだせずにいる
一人 悦に入る
そして
呼吸を疎かにし
世間から放り出されるのさ
重々しさも
罪の意識もない
無邪気な死刑宣告を待つんだ
無表情を装い
びくびくと。